沖縄気象台によると、2023年に沖縄地方に接近した台風は六つあり、特に6号は本島地方や大東島地方、先島地方で猛威を振るった。暴風の影響で死傷者が出たほか、停電や通信障害も発生するなど県民の暮らしに甚大な被害を与えた。
台風6号は7月28日にフィリピンの東で発生し、急速に発達しながら沖縄地方に接近した。31日には大型で非常に強い勢力に発達し、同日に大東島地方が暴風域に。8月1日以降も本島地方や宮古島地方、石垣島地方も暴風域に入った。7日に大東島地方が暴風域を抜けるまで、沖縄地方としては8日間にわたって猛威にさらされたことになる。
影響の長期化によって県内各地では土砂災害などが相次いだ。強風による転倒などで100人以上が負傷し、死者も出た。8月2日には県内全世帯の34%を占める34市町村21万5800世帯が停電となり、一部地域では1週間以上解消されないケースもあった。電話やインターネットがつながらない地域もあり、全面復旧は1カ月ほどかかった。
空と海の便も連日欠航し、離島では生活物資が一時不足した。観光客も不測の事態で行楽地も回れず、ホテルで缶詰めになり長期間足止めされた。県によると、農林水産業は20億円以上の被害が出た。
台風が沖縄地方でUターンするなど複雑な進路を取ったことも影響の長期化につながった。
沖縄気象台によると、当初は日本の南から沖縄地方を通り、中国の華南方面に向かうと予想していた。しかし、実際は高気圧が大陸付近で張り出したことで進路が阻まれ、沖縄地方に停滞する格好に。本島地方と大東島地方は2度にわたって暴風域に入った。
台風6号によって、島しょ県沖縄のライフラインのぜい弱性が改めて顕在化され、県民への防災意識の啓発や一人一人が日ごろから災害に備える重要性も一層浮き彫りとなっている。
(小波津智也)