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「まずは家の外に」 元校長、居場所「あいのいえ」開設 不登校や引きこもりの子を支援 読谷村


「まずは家の外に」 元校長、居場所「あいのいえ」開設 不登校や引きこもりの子を支援 読谷村 子の居場所づくりに奔走する長嶺加恵美さん(左)と福地たず子さん=20日、読谷村渡慶次
この記事を書いた人 Avatar photo 高橋 夏帆

 中頭地区で中学校長を務め、今年3月に37年間の教員生活を終えて定年退職した長嶺加恵美さん(61)=読谷村=が9月末、不登校や引きこもりの子どもと若者の自立支援のための一般社団法人「あいのいえ」を立ち上げた。社会的に孤立しがちな子どもや若者たちに対し、「まずは家の外に出てみる」という一歩をサポートできるよう、自宅の一室を「居場所」として開設した。

 現在、子どもたちが安心して過ごせるよう改装費などを募るクラウドファンディング(CF)に挑戦している。長嶺さんは「子どもと学校との間のクッションのような場所にしたい」と、元教員仲間や教え子らと「第3の居場所」づくりに取り組む。

 きっかけは、校長在職時に3年間一度も会えず、卒業証書を手渡せなかった生徒たちがいたことだった。「卒業式は毎日の積み重ねで迎える。義務教育を終える節目に参加させることができなかった」と後悔した。「あの子たちに違う景色を見せてあげたかった。今の生徒たちや保護者、先生に同じ思いをさせたくない」と、居場所づくりを決めた。

 3月に同じ勤務先の中学校を定年退職した福地たず子さん(61)=恩納村=に声を掛けた。さらに、読谷村在住の元教え子など3人が加わり、9月末に法人を設立。自宅の和室を改装して、11月の開設にこぎ着けた。

 現在、村内の小学5年生から高校を卒業した若者ら8人が利用している。居場所では何をして過ごしてもよく、本人が希望すれば生活習慣の改善や学習支援、就労体験など受けたいプログラムを選べる。居場所開設から1カ月がたち、学校行事に参加するようになった子や別室登校する子が出てきた。保護者の相談には学校現場の実情も踏まえてアドバイスしており、福地さんは「それが私たちの強み」と話す。

 今月10日から、施設の改装や運営の費用を募るCFを始めた。来年1月末まで専用サイト「キャンプファイヤー」で募集する。サイトは「一般社団法人あいのいえ」で検索して出る法人のホームページからアクセスできる。

 (高橋夏帆)