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「クワイエットアワー」とは? 感覚過敏でも「落ち着いて買い物」 コープ牧港が体験会 店内の音や照明控えめに 沖縄


「クワイエットアワー」とは? 感覚過敏でも「落ち着いて買い物」 コープ牧港が体験会 店内の音や照明控えめに 沖縄 「クワイエットアワー」の実施を知らせる案内と、照明が半減された店内=2月29日、浦添市のコープ牧港
この記事を書いた人 Avatar photo 渡真利 優人

 明かりが半分落とされた店舗に訪れる買い物客。普段は大音量で流れる店内放送やBGMは最小限の音量。音や光といった刺激が苦手な人に配慮して営業する取り組み「クワイエットアワー」のモニター体験が2月29日、浦添市のコープ牧港で実施された。沖縄市の県発達障害者支援センター「がじゅま~る」が企画し、趣旨に賛同したコープおきなわが協力した。参加者からは「落ち着いて買い物できた」「今後も続けてほしい」といった声が聞かれた。

 クワイエットアワーは音や光、においといった刺激が苦手な「感覚過敏」の人に対して、一時的に音や光の刺激を緩和して営業する取り組み。感覚過敏は発達障がいのある人に多く見られるとされ、光や音、においといった特定の刺激を過剰に受け取る。興奮や疲れを感じ、ストレスとなることが指摘されている。クワイエットアワーはイギリスやスイスなどでは積極的に実施されている。

 2月29日のモニター体験には感覚過敏の症状がある当事者3人と、その家族の合わせて6人参加した。営業時間の午前9~10時の1時間、店内の照明は間引きで点灯し、商品を照らすスポットライトや大音量で流れる販促機器などは電源を落とした。

 自閉スペクトラム症で聴覚過敏がある男性(35)=浦添市=は「お店を1周して気になった商品を見にもう一度戻ることができた。落ち着いて買い物することができた」と効果を実感した様子だった。

 聴覚過敏のある50代の女性=同市=も、普段の買い物では音で疲れを感じていたといい「心臓がばくばくしなかった。すごく楽に買い物できた」と話した。

 同店の石川健司店長は「どこまで照明を落とせばいいか戸惑いはあったが、業務への支障はほとんどなかった。継続的に実施すればスムーズに運営できるのではないか」と語った。

 今回の趣旨に賛同した、コープおきなわのD&I推進チームの砂川花英手(かえで)さんは「今後も定期的に開催できないか検討していきたい」と意欲を語った。

 がじゅま~るでは、4月2~8日の「発達障害啓発週間」と、4月2日の「世界自閉症啓発デー」に合わせて、クワイエットアワーの実施を検討している。

 (渡真利優人)