「沖縄いのちの電話」相談員不足が深刻化 新型コロナで養成不十分 来月から講座


「沖縄いのちの電話」相談員不足が深刻化 新型コロナで養成不十分 来月から講座 受講を呼びかける(左から)渡久山朝裕事務局長、長田清理事長、浜端宏次運営委員=10日、那覇市泉崎の琉球新報社
この記事を書いた人 Avatar photo 前森 智香子

 孤独や悩みを抱える人に寄り添う「沖縄いのちの電話」の相談員不足が深刻化している。相談員になるには講座を受ける必要があるが、新型コロナウイルスの影響で養成が不十分に。受講者数も減少しており、事務局は危機感を募らせる。7月18日から本年度の講座を開講予定で、「カウンセリングの知識がつき、自己成長にもつながる研修になっている」と応募を呼びかけている。

 相談員になるための講座は23~70歳が対象。カウンセリングを学ぶ公開講座と、相談員養成講座の双方を受けた後、1年間の研修などを経る必要があり、養成に2年ほどかかる。相談員はボランティアで、報酬はない。

 2019年度の公開講座の受講者は60人。コロナ禍で20年度は講座を中止し、21、22年度は募集人数を20人に制限した。昨年度から募集人数を戻したが、受講者は29人にとどまった。渡久山朝裕事務局長は「コロナは明けたが、相談員の確保はさらに難しくなっている」と話す。

 沖縄いのちの電話の相談員の実人数は昨年10月時点で65~75人ほど。以前は2回線で相談を受けており、15年の相談件数は1万件を超えていた。新型コロナの影響や相談員の減少で、現在は1回線のみ。受けられる相談も限られてしまい、23年の相談件数は5650件、うち「自殺志向」の相談は998件だった。

 長田清理事長は社会不安が個人の生活を脅かし、生きる意欲を失わせることがあるとし「今、私たちの活動が社会から求められていると感じる」と力を込める。本年度は前期の公開講座が7~10月の全15回、後期の相談員養成講座が11月~来年4月の全19回。受講料は各2万円。毎週木曜午後7~8時半、那覇市のカトリック安里教会ホールで。講座の問い合わせは事務局、098(888)4747。

 (前森智香子)