児童虐待の疑いがあるとして、県警から児童相談所へ通告する子どもの数が増加傾向にある中、浦添署(砂辺操署長)は26日、学校教員らが児童虐待を早期に発見し、安全を確保する対応力を高める訓練を同署で実施した。「児童虐待防止初動対応訓練」と題し、西原町内の小中学校教員や県中央児童相談所の職員ら計11人が参加した。
同署によると、2023年の児童虐待事件で、県内の摘発件数は26件と前年から9件減少した。一方、県警から児相への通告があった子どもの数は2456人(前年比147人増)と増加傾向にある。
訓練は、学校に遅刻して登校した女子生徒が足を引きずり、表情も暗く、親から虐待を受けている可能性があると想定して実施した。参加者の教員らが、生徒役の女性警察職員から話を聞き、教育委員会や児相など関係機関に連絡する流れを確認した。
浦添署の大城伸少年課長は(1)回答の範囲を制限せず、子ども本人の言葉で説明してもらうための「オープン質問」に徹する(2)女子児童・生徒のけがの確認は女性職員が行う(3)服を着たまま確認できるけがは写真で記録する―など、初動対応時の注意点を示した。
県中央児童相談所初期対応班の熊切あづさ主幹は、支援対象となった子を児相が家庭から隔離する「一時保護」に触れた。「行ったことのない場所は、子どもにとってすごく不安。祖父母宅など避難場所があれば安全確保できる場合もあるので、本人の意思を丁寧に確認してほしい」などと呼びかけた。
訓練に参加した西原小生徒指導担当の兼次剛教諭(52)は「学校で対応できることと、関係機関の役割の線引きが難しいと感じていたが、今回の訓練を経て明確になった。良い勉強になった」と振り返った。
(西田悠)