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乳がん患者の身体活動量を調査、抗がん剤治療に生かす 製薬大手など臨床研究 那覇西クリニックも参加


乳がん患者の身体活動量を調査、抗がん剤治療に生かす 製薬大手など臨床研究 那覇西クリニックも参加 乳がん患者の身体活動量を測る臨床研究の意義などについて語る関西医科大の木川雄一郎さん(右)と那覇西クリニックの玉城研太朗さん=7月31日、県庁記者クラブ
この記事を書いた人 Avatar photo 吉田 健一

 製薬大手の第一三共は関西医科大学と共同で、乳がん患者の日々の身体活動量を調べる臨床研究を開始する。沖縄を含む全国10カ所の医療機関で100人の乳がん患者を対象に行う。収集したデータを使い、抗がん剤治療による身体活動量の変化が患者の健康状態にどのような影響を及ぼすかなどについて解析する。将来的には、化学療法がもたらす副作用を軽減し、重症化抑制につなげたい考え。県内では、那覇西クリニックが参加する。

 身体活動量は、患者が手首に装着するウエアラブルデバイス(計測機)とスマートフォンアプリを通じて収集する。計測機は無償提供する。主に歩数や心拍数、睡眠などに関するデータを集める。

 化学療法開始前の乳がん患者が対象で、9月から参加者の登録作業を始める。データ収集期間は2026年11月まで。

乳がん患者の身体活動量を測るためのウエアラブルデバイス

 関西医科大講師で医師の木川雄一郎さんが主任研究者を務める。

 7月31日、県庁記者クラブで木川医師と那覇西クリニック理事長で医師の玉城研太朗さんが会見を開き、臨床研究の意義などについて説明した。2人によると、化学療法を行う患者の身体活動量を正確に把握し、活動量の程度によって抗がん剤の効果や副作用の違いの有無などについて解析していく。

 木川さんは展望として「活動量の違いによって、抗がん剤の副作用の出方や効果に違いがあるなら、身体活動が落ちている患者に運動療法を取り入れるなど何らかの介入をすることができる」と語った。研究の成果次第では、離島など医療機関にアクセスしにくい患者にリモートで対応できるようになる。

 那覇西クリニックの玉城さんは「当院も離島の患者を抱えている。離島の患者にも臨床研究に加わってほしい」と語った。

 国内における乳がん患者数は増加傾向にあり、女性が罹患(りかん)するがんとして最多となっている。沖縄県の乳がん罹患率は全国一となっている。

 (吉田健一)