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与那国の急激な軍事化に危機感 港湾の新設に懸念 県民の会が視察報告会 沖縄


与那国の急激な軍事化に危機感 港湾の新設に懸念 県民の会が視察報告会 沖縄 与那国町の比川新港開発計画について調査結果を説明する北上田毅氏=28、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【那覇】沖縄を再び戦場にさせない県民の会は9月28日、9月17~18日に視察した「急激に軍事化が進む与那国島の現状調査視察報告会」を県立博物館・美術館講堂で開いた。糸数健一町長が2021年に就任以降、比川新港湾建設と空港延長の計画が進み、軍事要塞(ようさい)化が加速化したと指摘する意見があり、参加者が危機感を共有した。

 土木技師の北上田毅さんは、町が特定利用空港・港湾への早期指定とともに、国に新設を要望している比川新港湾について「(町による)国への説明では10メートルの水深にしていたが、実際に提出した図面では5メートルしかなく、八重山層群という固い岩盤層で5メートル以上掘れない可能性があるのではないか」と述べた。

 5メートルでは自衛隊・米艦船やクルーズ船も入港できず、工事による大量の土砂の処分法についても懸念を示した。北上田さんが町に公文書開示請求をしたところ「国への要請は町長のみであり、協議議事録は未作成のため不存在」と町側が回答したことに疑問を示した。北上田さんは「同町は素晴らしい情報公開条例があり、公文書がない場合は作りなさいという条例になっている」と公文書の開示を求めた。

 与那国町議の田里千代基さんは「アジアと結ぶ国境の島から要塞の島へと激変する与那国島」と題した資料を基に、軍事化が加速する経緯を振り返った。田里さんは「台湾との直接航路があった際に1万人が居住していた。台湾の経済圏の中に与那国島生活圏の一体化があり、閉じられることにより衰退化したが、もう一度繁栄の時代を構築したい」と思いを述べた。

 (喜納高宏通信員)