【名護】津波警報の発令時に安全かつ迅速な避難を目指そうと、次世代型電動車いす「WHILL(ウィル)」を災害時の移動手段に活用する実証事業が名護市内で始まった。主催する沖縄トヨタ自動車(浦添市)によると全国初の取り組みで、12月24日まで実施する。平時は観光客などが市内を移動する手段として無料で貸し出し、有効活用する。
ウィルは小回りがきき、運転免許不要で歩道を走行できる。最高時速は6キロ。カート型は一回の充電で最大33キロ走行できる。
名護漁港で津波を想定した避難訓練が10月31日にあり、漁港関係者がウィルに乗車して約1・3キロ離れた高台まで約30分かけて移動。操作方法や避難経路などを確認した。沖縄トヨタによると、漁港内の施設には高齢者の従業員が多く、避難場所も離れているためウィルを訓練で活用した。
名護漁業協同組合の安里政利組合長は「歩くより速く移動できる。足の悪い人には良い避難ツールだ」と評価した。
実証事業はデジタル技術を活用して地域課題を解決するスマートシティ名護モデル推進事業の補助金を活用する。
期間中は市観光情報センターとホテルゆがふいん沖縄に計4台配置し、ウィルを活用したガイド付きツアーなども実施する。沖縄トヨタ自動車の渡久地政智・地域支援課長は「安全に運行できた」と訓練を評価し、ウィルの認知度拡大に向けた普及活動に意欲を示した。
(武井悠)