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少子化対策で予算倍増の政府方針、沖縄の首長76%が「評価する」 保育サービス拡充は評価分かれる


少子化対策で予算倍増の政府方針、沖縄の首長76%が「評価する」 保育サービス拡充は評価分かれる
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 共同通信が全国の都道府県知事と市区町村長に行った少子化対策のアンケートで、沖縄県内で回答した33の首長(県含む)のうち、76%(25人)が子ども関連予算の倍増など政府方針を評価すると回答したことが24日、分かった。望ましい財源を二つまで聞くと、医療・介護など「社会保障分野の歳出削減」が24%(8人)で最多、政府が公的医療保険を想定する「社会保険料に上乗せ」は6%(2人)で最少だった。

 少子化に歯止めがかからない現状への自治体の強い危機感が背景にあり、政府は財源を確保して確実に実施することが求められる。

 アンケートは7~8月、政府が6月にまとめた少子化対策について47都道府県と1741市区町村の全首長を対象に実施。県内では知事と32市町村長から回答を得た。

 政府は、社会保険料への上乗せのほか、医療や介護の歳出改革などで財源を確保し、現在5兆円弱の予算を2030年代初頭までに倍増させる意向。この方針を「評価する」は15%(5人)、「どちらかといえば評価する」は60%(20人)だった。理由は「規模や時期が明示された」が最も多かった。全国では「評価する」が8%、「どちらかといえば評価する」は58%だった。

 県内で「評価しない」とする回答はなく、「どちらかといえば評価しない」が12%(4人)。うち3人が理由として「歳出改革や支援金制度などの詳細が示されていない」を挙げた。

 評価する政策を三つまで聞くと、「児童手当の拡充」「奨学金制度の充実」が多かった。望ましい財源は、社会保障分野の歳出削減に次いで、児童手当などの財源に充当している「企業の子ども・子育て拠出金の引き上げ」が21%(7人)、「公債発行」が18%(6人)、「国、地方の行財政改革」が15%(5人)だった。

 国とは別に、独自に少子化対策を行っている自治体は多い。自由記述で内容を尋ねたところ、県内では高校卒業までの子どもの医療費や学校給食費の無料化、不妊治療費補助のほか、離島町村は妊産婦の健診受診にかかる渡航費・宿泊費補助が目立った。
 (増田健太)

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児童手当、奨学金高評価 保育サービス拡充に課題

 共同通信の自治体首長アンケートで沖縄県内では、政府が打ち出した少子化対策の主なメニューのうち、児童手当や奨学金といった経済的支援が高い評価を得た。対して、保育サービスを拡充する「こども誰でも通園制度」は評価が分かれた。保育士不足が背景にあるとみられる。

 評価する政策メニューを三つまで尋ねると、所得制限を撤廃して高校生まで支給する「児童手当の拡充」が76%(25人)、大学生ら向けの「奨学金制度の充実」が64%(21人)と半数を超えた。

 配偶者に扶養されるパート従業員らが社会保険料負担の発生を避けるため働く時間を抑える「『年収の壁』への対策」と、テレワークの努力義務化など「柔軟な働き方の推進」がそれぞれ33%(11人)だった。公共施設での専用レーン設置や鉄道・バスでのベビーカースペース設置など「子どもに優しい社会へ向けた意識改革」は6%(2人)で最下位だった。

 通常は親の就労などが利用条件となっている保育所に、条件を問わず通える「こども誰でも通園制度」は24%(8人)が評価する一方で、評価できない政策メニューを三つまで尋ねる設問では18%(6人)が挙げ、最多だった。理由として「実現が厳しく、まずは保育士不足の解消等が必要だ」(竹富町)との声が上がった。
 (増田健太)

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調査の方法=アンケートは7月、47都道府県知事と全1741市区町村長宛てにインターネットを通じて質問票を送付した。主に自治体がオンラインの回答フォームに直接入力する方式で収集し、1681人から回答を得た。回答率は94%。県内では県知事をを含む33人が回答した。回答人数を分母としてデータを集計した。回答がなかった県内市町村長は糸満市、国頭村、恩納村、北中城村、渡嘉敷村、渡名喜村、久米島町、多良間村、与那国町。