ヤンバルクイナは感染症に弱い? 免疫を活性化させる遺伝子が喪失 ウイルスへの抵抗力が低い可能性 国立環境研などが発表  


ヤンバルクイナは感染症に弱い? 免疫を活性化させる遺伝子が喪失 ウイルスへの抵抗力が低い可能性 国立環境研などが発表   ヤンバルクイナ
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 国立環境研究所(茨城県)とNPO法人どうぶつたちの病院沖縄(うるま市)、岩手大学の研究チームは3日、絶滅危惧種ヤンバルクイナがウイルスへの抵抗力が低く感染症にかかりやすい可能性があると発表した。体内にウイルスが侵入した場合、排除しようとする免疫を活性化させる「MDA5遺伝子」の機能が喪失しているという。大量死の要因となる高病原性鳥インフルエンザなどの感染症に感染すれば命を落とす可能性が高いという。

 ヤンバルクイナについては、環境省が飼育施設で保護増殖事業に取り組んでいる。研究チームは、クイナの感染対策に研究が生かされることを期待している。

 発表によると多くの鳥類は、体内でウイルスを認識すると自然免疫を活性化させ排除しようとする遺伝子の機能を持っているが、ニワトリはこの遺伝子を欠損しているため鳥インフルに対する感受性が高いと指摘されている。

 研究では、すでに解読されているヤンバルクイナの全遺伝子情報の中から、ウイルスを認識する遺伝子配列を取得し、ニワトリや他の鳥類と似た配列を検索した。断片的に似ていたほか、免疫の活性化機能を喪失させる塩基配列「ストップコドン」が見られた。

 また、どうぶつたちの病院から提供を受けた、死んだヤンバルクイナの個体から採取した細胞を培養し、ウイルスに似た化学物質で刺激を与えたところ、ニワトリよりもウイルスへの反応が遅かったという。

 研究は8月22日に公開されたオンライン学術誌「PLOS ONE」に掲載された。(慶田城七瀬)

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