「反対の姿勢貫いて」「判決に反する」 デニー知事、期限内に承認せず 決断に賛否、疑問の声も


「反対の姿勢貫いて」「判決に反する」 デニー知事、期限内に承認せず 決断に賛否、疑問の声も 米軍キャンプ・シュワブ辺野古崎の上空写真
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 沖縄県名護市辺野古への新基地建設に関し、防衛省による軟弱地盤改良工事の設計変更申請を国土交通相が県に対し承認するよう求めていた件で、玉城デニー知事は回答期限を迎えた4日、現段階では承認を行わない方針を示した。行政の長としての立場と、民意の付託を受けた政治家としての立場。両者の間で揺れて悩み抜いた決断に対し、県民からはさまざまな意見が上がった。辺野古の新基地建設に反対する人たちは、知事を支え続けることを強調した。

 玉城デニー知事が4日、名護市辺野古への新基地建設に絡む国土交通相の指示について、現段階で承認を行わない考えを明らかにしたことを受け、県内では知事の方針に賛同する意見や県の対応を批判する声が上がったほか、知事が判断を示さないことをいぶかしむ人もいた。

 うるま市昆布に住む女性(75)=団体職員=は「県民の気持ちに寄り添った判断だと思う」とうなずく。自宅近くに米陸軍貯油施設があり、上空は米軍機の飛行ルートになっている。「日常的に墜落の恐怖を感じるほどで、爆音は精神的にも肉体的にも苦痛だ。新しい基地は新たな被害を生むので反対だ」と語気を強めた。

 南城市大里農村環境改善センターで作業をしていた男性(74)は「母が沖縄戦で左目を失い、つらい思いをした」と明かし「法律上は国の方針に(最終的には)従わなければならなくても、知事は戦争につながることへ反対の姿勢を貫いてほしい」と静かに訴えた。

 石垣市の農家の男性(40)は「知事が最高裁の判決に従っていないのは法治国家としておかしい」と疑問を呈し、気持ちとして知事に「不信任」を突きつけたいと憤りを示した。「先島を含め、全県的に知事の一連の対応について意見を募ってほしい」と求めた。

 那覇バスターミナルでバスを待っていた40代の事務職女性=浦添市=は「(知事が)承認の是非を示さないことに驚いた」と話す。承認を迫る国と新基地に反対する民意との間で、知事が板挟みになっていることに一定の理解を示しつつも「態度を明確にすることも重要ではないか」と述べた。

 (石井恵理菜、上江州仁美、照屋大哲、渡真利優人、小波津智也)