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続く騒音「複雑な思い」 宜野湾住民「不承認を」の声も


続く騒音「複雑な思い」 宜野湾住民「不承認を」の声も 米軍普天間飛行場の移設先として工事が進む沖縄県名護市辺野古の沿岸部。手前は大浦湾=2023年5月(共同通信)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 宜野湾市の米軍普天間飛行場では4日も訓練が実施され、航空機のエンジン音が午前7時過ぎから鳴り響いた。玉城デニー知事の判断に対し、同飛行場周辺住民や移設先の名護市からは賛否の声が聞こえた。

 米軍機が着陸する際の進路にある宜野湾市上大謝名では午後6時現在、市内の騒音測定局で4日の最大値となる89・7デシベルを記録した。騒音に悩まされる日常が繰り返される中、知事の判断に「複雑な思いだよ」と自治会関係者の60代女性は語る。「知事が県民の思いを背負っているのは理解している。でも、私たちはいつ苦しみから解放されるのか」と打ち明けた。

 市宜野湾の公園で4歳の娘と1歳になる息子と遊んでいた音楽家の男性(39)=市宜野湾=は「新たな基地を造ることで、また70~80年先まで置かれる」と移設に反対する。「移設阻止を公約に掲げているからこそ、不承認と言わなかったのは残念。ただ、私たちには分からないプレッシャーも感じているはずだ」と理解を示した。

 新基地の埋め立て現場に近い名護市辺野古周辺。騒音による生活への影響から、新基地建設に反対する70代男性=豊原区=は「いろいろな意見があり、夫婦間でさえ対立するからここで基地の話はできない。大変だとは思うが知事には頑張ってほしい」と知事の判断を支持した。

 辺野古の集落はいつも通り穏やかな1日だった。辺野古区公民館で島袋茂区長は「予想通りの判断ではあるが、その後がどうなるのか、地元としては見守るしかない」と知事の判断を注視する考えだ。辺野古に住む無職の男性(64)は「国と裁判をしてもかなわない。何としても工事を進めるのだろう」と言葉少なだった。
 (増田健太・名嘉一心)