宮古陸自ヘリ事故、搭乗者氏名の公表で悩み 公益性と尊厳、配慮のはざまで<取材ノート 新聞週間2023>


宮古陸自ヘリ事故、搭乗者氏名の公表で悩み 公益性と尊厳、配慮のはざまで<取材ノート 新聞週間2023>
この記事を書いた人 琉球新報社


 第76回新聞週間が15日、始まった。記者は取材現場でさまざまな状況に直面しながら、どんな思いで記事を書いているのか。報道の在り方を日々模索しながら発信する記者の思いを紹介する。


 4月に宮古島市沖で発生した陸上自衛隊UH60JA多用途ヘリの事故で、ヘリの搭乗者の氏名公表を巡り、取材に関わった記者やデスクは頭を悩ませた。

 当初、陸自が公表したのは搭乗者10人のうち、坂本雄一第8師団長(当時)のみだった。琉球新報は伊與田雅一宮古警備隊長(当時)も乗っていたという情報をつかんだ。地元の駐屯地トップの搭乗は、県民の関心も高いと考えた。同時に、生存を信じて待つ隊員家族の苦悩も漏れ伝わってきた。すぐに氏名を掲載すべきか、陸自が家族の理解を得た上で公表するのを待つべきか、デスクと記者で議論した……