北部地区で透析患者の受け入れがひっ迫 腎疾患の医師や看護師が不足、中南部の医療機関にしわ寄せ


北部地区で透析患者の受け入れがひっ迫 腎疾患の医師や看護師が不足、中南部の医療機関にしわ寄せ 北部地域の透析医療の現状について説明する北部地区医師会の上地博之会長(左から2人目)=19日、北部会館
この記事を書いた人 Avatar photo 池田 哲平

 【北部】北部地域で腎臓内科専門医の不足などによって、腎疾患の診療や透析医療の体制が整わず、一定数の患者が中南部の医療機関を利用しているとして、北部地区医師会は北部地区の12市町村長に対し、治療体制の確保などを県に要請するよう求める文書を発送した。19日に取材に応じた同医師会の上地博之会長によると、北部の患者の流入によって、中南部の医療機関の負担感が増大している現状がある。今後は北部市町村会と協調し、県などへ医師の配置などを求める要請行動を目指す考えだ。

 北部地区医師会によると、県立北部病院で2018年4月に腎臓内科専門医が1人体制となり、新規の腎疾患患者の受け入れを制限している。民間でも診療している医療機関は1カ所しかなく、施設数が圧倒的に足りていない状況だという。中南部の医療機関を北部の患者が受診した場合でも、慢性維持透析となった患者を北部の医療機関へ紹介しても受け入れができない、または拒否される事例も出ている。

 たいようのクリニック(名護市)の宮平健院長が北部地域の透析施設7カ所に聞き取りしたアンケートによると、医師や看護師などの医療従事者が増えれば、透析患者をより多く受け入れることができると回答した医療機関が3カ所あった。宮平院長は「現在の北部地域の医療体制を考えると、県立北部病院の腎臓内科医師、透析看護師の定員を増やして対応していくことが現実的だ」との考えを示した。

 中南部の医療機関の負担が増えていることに対し、上地会長は「医療施設が十分に整わず、他の医療圏にしわ寄せがいっている」と指摘。「北部地域への医療従事者の定住促進を図らないといけない」と述べ、透析医療体制の確保に向けて、要請活動をしていく考えを示した。
 (池田哲平)