有料

基地建設やめて 原告が意見陳述 辺野古抗告訴訟


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 名護市辺野古の新基地建設に伴う設計変更申請を県が不承認とした処分を国が取り消した裁決を巡り、辺野古周辺の住民らが不承認の効力を回復させるため国を相手にした抗告訴訟の第5回口頭弁論が19日、那覇地裁(福渡裕貴裁判長)で開かれた。市瀬嵩に住む原告の渡具知武清さん(66)が「辺野古への基地建設をやめてください」と意見陳述した。
 瀬嵩で生まれ育った渡具知さん。長男が生まれた頃、基地建設の話が出て、次世代のため反対運動に参加した。2004年から始めた米軍キャンプ・シュワブゲート付近で毎週土曜夕方に実施するピースキャンドルの活動は現在も続く。
 家族写真は基地建設関連ばかりで、本来は別で有意義に使えたはずの時間。27年も地域が分断・翻弄(ほんろう)され、基地反対の民意を何度示しても、聞き入れられない状況があるとして「本当に許しがたい」と憤る。裁判所には「被害を受ける当事者に目を向け、法の番人として正義にかなった判決を出してほしい」と求めた。
 原告側の弁護団は、原告らに原告適格があることや県の不承認には裁量の逸脱・乱用はないなどと訴える準備書面の要旨を陳述した。次回期日は24年1月23日。
 これまで、裁判所による意見陳述の事前の内容確認を巡り原告側が反発していた。進行協議を経て、19日の弁論前に内容の事前提出は求められなかったという。