【中部】日米共同訓練の共同兵站(へいたん)訓練が中部地域の公道を使用して実施された20日。市民らは朝からうるま市のホワイトビーチ前で訓練に抗議し座り込んだ。正午過ぎ、コンテナを乗せた軍用車両が公道に出ようとすると、市民らは「平和な島を取り戻すぞ」と声を振り絞った。車両を前進させたい米兵や自衛官を前に時間はじりじりと過ぎていったが、再三にわたる県警からの警告後、機動隊が排除に取りかかった。午後0時35分、ゲートから続々と日米の車両が出始め、嘉手納弾薬庫地区へと公道を使って物資を輸送する訓練が始まった。
午前8時40分ごろ、共同訓練で使用する陸上自衛隊の物資を積んだ輸送船の着岸を確認した市民らは、ホワイトビーチゲート前へと移動した。約40人が集まり、抗議集会が始まった。
「安全保障の名の下で、沖縄が戦争に巻き込まれようとしている」と危機感を表明したミサイル配備から命を守るうるま市民の会の照屋寛之共同代表は「沖縄での軍事訓練を許すわけにはいかない」と団結を呼び掛けた。その後は参加者それぞれがゲートの先にいる米兵や自衛官らに語りかけるように、訓練に対する思いや決意をスピーチした。
日差しが強くなってきた正午ごろ、輸送トラックがゲート前に車列をなして出てきた。市民らは公道への進入を阻止しようと座り込んだが、1人ずつ機動隊に抱えられて排除された。比嘉武義さん(83)=沖縄市=は公道使用について「日常、生活が破壊される」と危機感を示し、「沖縄戦で家族を多く亡くした。二度と戦争を起こしてほしくない」との思いで座り込んだ。
阻止行動を遠くから見守っていたうるま市平敷屋で農業を営む男性(75)は「戦争につながる行為に反対する気持ちは分かる」としつつも「台湾有事などを想定すれば私は訓練に賛成だ。備えなければ守れないものもある」と複雑な心境を語った。
輸送トラックが向かった嘉手納弾薬庫地区のゲート前でも市民ら約30人が阻止行動を展開した。(金盛文香、名嘉一心)