神経の病気で治療薬が開発されていない近位筋優位運動感覚ニューロパチーの治療薬開発につながる研究が2022年11月、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)に採択された。県内の患者や家族からは「治療法確立へ希望が見えた」と喜びの声が上がった。
研究は聖マリア病院(福岡県)の谷口雅彦医師と京都大学iPS細胞研究所(京都府)の井上治久教授の研究班が合同で行う。治療薬開発に必要な患者情報「患者レジストリ」を収集し、分析する研究が採択された。
近位筋優位運動感覚ニューロパチーは筋肉が痩せてしまう神経の病気で、根本治療は確立されていない。当事者で家族会「希の会」の新垣明美さんは10年前に診断を受けた。徐々に症状が重くなり現在は電動車いすで生活する。「少しずつ歩行が難しくなるなど変化があると不安になる」と話した。
新垣さんは研究の採択を聞き「根本治療は諦めていたため、希望が見えた」と明るい表情を見せた。同会の我如古盛健会長は「治ると信じている。次世代に希望をつなげられた」と喜んだ。
谷口医師は「治療法を開発し後世に病気を残さないことがゴールだ」と思いを話した。井上教授は「根本治療の開発に向けて重要な第一歩となる」と意気込んだ。
11月5日には那覇市の沖縄産業支援センターで「神経難病を克服する」と題した市民公開講座を開催する。AMEDの研究内容などについて谷口医師や井上教授らが講演する。午前11時から午後1時まで、入場無料。問い合わせは聖マリア病院院長室の福留大さん、電話0942(35)3322。
(金盛文香)