有料

「幸子おばーの幸せバナナ」子や孫、ひ孫の祝い事見守る 大宜味の手登根さん宅


「幸子おばーの幸せバナナ」子や孫、ひ孫の祝い事見守る 大宜味の手登根さん宅 手登根恵貴さん(前列左から3人目)と手登根ファミリー=22日、大宜味村の手登根恵貴さん宅
この記事を書いた人 Avatar photo 金城 大樹

 【大宜味】大宜味村田港の手登根恵貴(けいき)さん(93)の自宅に毎年、「三尺バナナ」がたわわに実る。植物好きだった恵貴さんの妻・幸子さんが約15年前に植えた。手登根家では子や孫、ひ孫らの祝い事の際に贈られる「幸子おばーの幸せバナナ」として親しまれている。幸子さんはバナナを植えてから約1年後に他界した。恵貴さんの長男・勇さんは(63)「亡くなったばあちゃんも一緒に祝ってくれているみたいだ」と、庭のバナナの木を優しく見つめる。

 手登根家では、子や孫、ひ孫の結納や出産、合格祝いなどの際に、幸子おばーの幸せバナナが贈られる。恵貴さんの初孫・悠子さんが結納した際には、恵貴さんからバナナと琉歌「今日のゆかる日に 祝う実芭蕉と 悠久の幸想い うりずんの 嬉しゃ(今日のめでたい日に 祝うバナナと 末永い幸せを願い 初夏のうれしい日かな)」が贈られた。

 バナナは年々、収穫量が増えているという。最初に収穫した時は10キロほどだったが、22日に収穫した際は約27キロあった。

 バナナとともに、手登根家の家族も増えている。恵貴さんには現在、孫が14人、ひ孫が17人いる。来年にはひ孫がさらに2人増える予定だ。恵貴さんは「家族が増えて自分が食べる分はもうないけれど、毎年、みんなにバナナを配るのが楽しみだ」と笑顔を見せる。

 恵貴さんの孫で、出産を控えた呉屋玲奈さん(37)は、22日に収穫されたバナナを受け取った。「小さいころ、風邪をひいたら幸子おばーに面倒を見てもらっていた。こうやって祝ってもらえてとてもうれしい」と話した。

 (金城大樹)