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「県民の思い、代弁」 知事会見 沖縄の歴史背負い


「県民の思い、代弁」 知事会見 沖縄の歴史背負い 代執行訴訟の第1回口頭弁論を終えて報道陣の取材に応じる玉城デニー知事(左から2人目)=30日午後4時2分、県庁(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 開廷前の30日朝、玉城デニー知事は「明鏡止水(めいきょうしすい)の気持ちで臨む」と心情を一言で表した。9月4日の最高裁判決で敗訴して以降、行政の長としての立場を取るか、多くの民意を尊重する政治家の立場を取るかで苦悩を深めてきた。弁論後の会見では一変し、穏やかな表情を見せた。
 「県民はどう期待してるかということを、地方自治を預かるという点から、はっきりと主張させてもらった」。時折、厳しい表情を見せながらも落ち着いた様子で報道陣の質問に答えた。右の手のひらを胸に当てながら、民意を代表する「政治家」の務めを果たした矜持(きょうじ)をのぞかせた。
 歴代の県知事は基地問題を巡り、国と対峙(たいじ)し、厳しい判断を迫られてきた。時に苦悩し、妥協を強いられる「沖縄の歴史」を背負う県知事の役割を問われた際は、考え込むしぐさを見せた。翁長雄志前知事以降、政府に対話による問題解決の姿勢がないと指摘し、その政府の姿勢が「多くの県民と国民から不満と強い憤りにつながっている」と強調。言葉をつなぎ、県知事として沖縄の歴史を背負って、法廷で「県民の思い」を代弁する役割があると答えた。 (梅田正覚)