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<沖縄ヘイトにあらがう2>過剰適応に未来はない 辛淑玉さん(「のりこえネット」共同代表)


<沖縄ヘイトにあらがう2>過剰適応に未来はない 辛淑玉さん(「のりこえネット」共同代表) 辛淑玉さん
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 私の目には、日本社会の「沖縄たたき」は娯楽にしか見えない。基地に反対する沖縄の民意を踏みにじれば踏みにじるほど、権力と一体になった自分という幻想に酔えるからだ。それは快感なのだ。オレは強いんだ、オレに逆らうな、お前ごときが意志を持つな、お前なんかどうにでもできるんだと、たたけばたたくほど確信できる。
 本土ではマスコミ報道でさえ子どもだましのデマ、フェイクニュースを平然と流す。無知だからではない。何をやっても絶対に反撃されないという安心感があるからだ。
 かつて米国のある日本研究者は「日本はアメリカにひどいことをされればされるほどアメリカを尊敬する国だ」と言い放った。
 アメリカには一切逆らえない弱い日本。己の弱さを見ないためには、「強い自分」を確認する作業が必要となる。その鬱屈(うっくつ)した感情のゴミ箱が「オキナワ」なのだと思う。
 沖縄は、かつての強大な帝国日本を思い起こさせてくれる国内植民地として見事に機能している。そこに利権まで伴うとなれば、彼らが手を緩めることは決してない。そして、沖縄には何をしてもいいんだという正当化に必要となるのが沖縄ヘイトだ。日本のための防波堤になろうとしない沖縄を「国家の敵」とするためのヘイトが。
 何としても、あらがわねばならない。強者にいくらへつらい過剰適応しても、そこに未来はないからだ。
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 琉球新報は10日午後6時から那覇市泉崎の琉球新報ホールで創刊130年記念事業の一環として池宮城秀意記念フォーラム「沖縄ヘイトにあらがう―私たちに何ができるか」を開く。入場無料(整理券が必要だが、この申し込みフォームからも聴講申し込み可能)。問い合わせ先は琉球新報編集局暮らし報道グループ、電話098(865)5158。