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介護の現場、外国人が活躍 「特定技能」即戦力で注目 「雇用確保だけでなく、資格への支援も必要」


介護の現場、外国人が活躍 「特定技能」即戦力で注目 「雇用確保だけでなく、資格への支援も必要」 介護の現場で働くネパール出身のポウデル・サンディパさん=10日、八重瀬町友寄の介護老人保健施設「東風の里」
この記事を書いた人 Avatar photo 渡真利 優人

 少子高齢化に伴い、介護事業所の人材確保が課題となっている中、「特定技能外国人」が福祉の現場で注目を集めている。特定技能外国人と、求人企業をつなぐ外国人材紹介事業「ドリーム・コネクト」(浦添市)代表取締役の宮城俊彦さんは「仕事に対する意欲と評価は高い」と外国人労働者に期待を示す。11月11日は介護の日だった。介護を担う外国人労働者を取材した。

 特定技能外国人(特定技能1号)は、技能実習生と異なり、一定程度の日本語能力と、それぞれの就労する分野の試験を経て、在留資格を取得する。そのため受け入れる施設側も即戦力として注目している。在留期間は5年だが、介護福祉士の国家資格を取得すれば永続的に日本にいることが可能となる。

介護業界で注目を集める特定技能外国人について説明する「ドリーム・コネクト」の宮城俊彦さん=9日、浦添市城間の同社
介護業界で注目を集める特定技能外国人について説明する「ドリーム・コネクト」の宮城俊彦さん=9日、浦添市城間の同社

 八重瀬町にある介護老人保健施設「東風(こち)の里」には現在3人の特定技能外国人を受け入れている。そのうちの1人、ネパール出身のポウデル・サンディパさん(26)は2023年1月から同施設で勤務している。業務内容は入浴やおむつ交換、食事とトイレの介助、口腔(こうくう)ケアと多岐にわたる。

 ネパールでは在宅介護が基本で介護福祉士という職業を知らなかったというポウデルさん。福岡県の日本語学校に通っていたとき、講師が介護福祉士の仕事を教えてくれたことが働くきっかけとなった。現在、国家資格取得に向けて勉強に励んでいる。

 日々の業務について、「いい仕事。お年寄りが沖縄の方言や文化を教えてくれる。何よりも『ありがとう』と言われることが何よりもうれしい」とやりがいを語る。就労先に沖縄を選んだ理由について「ネパール人が多く安心感がある」と語る。

 事務長の城間秀一さんは「真面目さと謙虚さがあり、力になっている」と話す。12月には新たに3人の特定技能外国人を受け入れる方針だ。

 城間さんは「雇用の確保という理由のみで外国人を受け入れてはいけない。国家資格の取得に向けてしっかり支援していく必要がある」と介護職の人材定着の必要性を訴えた。

 一方で、技能実習生と異なり、特定技能外国人は1年目から転職が可能となる。事業所にとっては人材が定着しない可能性をはらむ。宮城さんは技能実習生、特定技能外国人共に、祖国への仕送りと自身の日本語学校の授業料返済に追われているとし「人材の定着と金銭的負担が課題」と指摘した。

 (渡真利優人)


21年以降 受け入れ倍増 県、マッチング支援も

 介護業界の人材不足が深刻化する中、特定の職種に一定の知識を持つ「特定技能1号」在留外国人の受け入れが2021年以降、ほぼ倍増する勢いで急速に増えている。

 出入国管理庁による今年6月時点の集計では、県内の特定技能1号在留外国人は全12分野(14業種)で1563人。農業の367人、飲食料品・製造の365人に次いで、介護は244人と3番目に多い。

 県高齢者福祉介護課によると、介護分野の人数は制度開始の2019~20年はコロナ禍で0~1人にとどまったが、21年は33人、22年135人、23年は244人と急増している。

 国別ではインドネシアが96人と最多で、ネパール79人、ベトナム42人など、気候など似ているアジア諸国が多くを占めている。

 23年の受け入れ市町村別では多い順に那覇市70人、浦添市40人、豊見城市16人などだった。

 県によると、介護分野は求人を出しても応募が少なく、外国人を希望する事業所も少なくない。そのため、県も今年6月ごろから、実績のある県外事業所に委託して、介護事業所と就労希望者のマッチング支援事業を進めている。

 県の担当者は「語学や知識がある特定技能外国人は事業者も受け入れやすく、外国人側も就労条件を見て職場を選定できるので、今後も増えていくとみられる」と語った。

 (嘉陽拓也)