【那覇】「私は人のお世話するのが大好きなの」と、表情豊かな話しぶりで笑顔を誘う安田文子さん(84)。毎月2回、那覇市安謝の小規模多機能ホーム安岡で利用者の話し相手になり、ラジオ体操で共に体を動かすなど、健康増進に一役買っている。
那覇市の「ちゃーがんじゅうポイント制度」を利用したボランティアで、活動実績に応じて最大約1万円の交付金をもらえる仕組みだ。安田さんにとって「ポイ活」(ポイントをためる活動)は友達との食事代に使う程度で、「人のお世話で自分も健康になるさ」と活動を続けている。
働きながら民生委員児童委員を務めてきた安田さん。「健康だから、できることはなんでもやる」と、市社会福祉協議会でボランティアを続けるなど忙しい。
同制度の登録は約5年前。コロナ禍では休止していたが昨年12月から再開した。同ホームでは認知症の利用者とゆんたく(おしゃべり)し、絵本を読み聞かせる。
「髪切ったのね。かわいくなっているさ」と利用者に話しかけると「正月が近いからね」と予想外の返答に大笑い。
同ホームの管理者、園田美紀さんは「安田さんがいると場が明るくなる。地域にも顔が広く、教わることも多い」と感謝する。人手不足の介護現場にとって頼もしい助っ人だ。
「今は笑っていられるけどね」。30代の頃に最愛の夫を亡くし、泣き伏せていた自分を奮い立たせて3人の子を育てた。現在は孫5人、ひ孫3人にも恵まれ「孫えーけんちゅ(孫たくさん)よ。だから、苦労話はあんまり書かないでよ」と人さし指を口に当てる。
「笑う門には福来たる」を体現する生き方のコツは「日々健康で前向きに生活すること」。安田さんが来るのを待ち望む人たちを「明るくにぎやかにするのが好きだからね」と、ボランティアを生きがいにしている。
那覇市によると同制度の登録者は約130人で、ボランティアを受け入れる高齢者施設は41施設。市は30日午後2~4時、なは市民協働プラザで同制度の市民説明会・交流会を実施する。同制度の対象は市在住の65歳以上。問い合わせは市ちゃーがんじゅう課098(862)9010。
(嘉陽拓也)