全国各地で大麻の類似成分を含む商品を食べたり吸引したりした人が救急搬送されている問題で、沖縄県の南部医療センター・こども医療センターでは2人の未成年が意識障害で救急搬送されていたことが22日、分かった。1人はカフェの店員に勧められ、もう一人は友人と購入して使用していた。
同センターでは8月以降、大麻由来の成分を含む商品を摂取した患者を独自に集計しており、22日までに10人に対応した。内訳は県外からの旅行者は妊婦を含む4人で、県内在住は6人だった。
病院側の聞き取りで患者は、大麻由来だが規制されていない「CBD」(カンナビジオール)を使用したと話しているが、他の商品を摂取したかなどは不明という。摂取した直後や数時間後に気分が悪くなり、呼びかけても反応しない意識障害などに陥ったという。患者の尿検査では、法律で規制されている大麻草の有害成分「THC(テトラヒドロカンナビノール)」が陽性になった事例もあり、医師らは信頼性の低い物質を摂取しないよう呼びかけている。
県内でCBD商品を取り扱う店舗の一部では、21日に行われた九州厚生局沖縄麻薬取締支所の立ち入り検査で規制成分を含む商品が確認されている。こうした店舗では違法性のある成分が含まれていないことや、睡眠の質が向上することなどを宣伝文句としているが、医師らは「救急搬送されるほどの意識障害が起きている時点で問題だ」と指摘する。
製造過程や含有成分、品質、流通経路など不明な点が多い商品もあるとして「意識障害になって事件事故に巻き込まれるなど、使用者が思っている以上の危険性がある。今夏の搬送数やその経路を考えると、『危険ドラッグ』が想定以上に広がっていることが懸念される」と語った。 (嘉陽拓也)