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「まさに戦前と同じ。二度と戦場にしないで」沖縄戦体験者ら県民大集会を応援 「いけないけれど、たくさんの人が集まってほしい」


「まさに戦前と同じ。二度と戦場にしないで」沖縄戦体験者ら県民大集会を応援 「いけないけれど、たくさんの人が集まってほしい」 左から:「沖縄戦前夜だ」と危機感を語る瀬名波栄喜さん、「二度と沖縄を戦場にしたくない」と語る翁長安子さん
この記事を書いた人 Avatar photo 中村 万里子

 23日に那覇市の奥武山公園で開かれる「11・23県民平和大集会」に、参加できない戦争体験者らが、思いを寄せている。日本軍の拠点が攻撃目標になり、住民が巻き添えになった沖縄戦を思い起こす体験者らは、今の軍備増強に「真っ先にやられるのは沖縄だ」と危機感を強める。高齢となり、会場に足を運ぶことはできなくても「二度と沖縄を戦場にしてはいけない、たくさんの人が集まってほしい」とエールを送る。

 「元全学徒の会」共同代表の瀬名波栄喜さん(95)は、戦前は県立農林学校に通い、現在の嘉手納町で日本軍の飛行場建設造りに動員された。今、軍備強化が進む沖縄の状況について「戦争準備そのもの、まさに戦争前夜だ。基地を強化していけば、攻撃目標にされる。基地と戦争は不可分だ」と訴える。9月の沖縄市でのキックオフ集会でも、あいさつで危機感を共有するつもりだったが、体調不良でかなわなかった。

 今、政府が整備を進める方針の住民保護のシェルターについて、1944年の10・10空襲で自身らが受けた米軍の攻撃を思い起こし、「空襲警報は間に合わなかった。シェルターを整備しても避難が間に合うはずがない」と強調する。

 県立第一高等女学校在学中に沖縄戦を体験した翁長安子さん(94)は、戦前の軍国主義と今を重ねる。「自衛隊は武器を購入し、なぜそんなに戦争をあおり立てるのか。負けていても『勝っている』と言い続けた、戦前の日本軍に似てきている感じがする」と不安を募らせる。

 沖縄戦では戦場となった南部を逃げ惑い、女性や子どもが命を奪われていく悲惨な光景を目の当たりにした。「日本は二度と戦をしかけてはいけない。自衛隊員も命を捨てる教育を強いられていると思うとかわいそうになる。自衛隊は自粛してほしいし、命を奪われない政治をしてほしい」。会場に足を運びたい気持ちは強いが、難しい状況だ。「行けないけれど、応援している」と若い世代に思いを託す。

(中村万里子)