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「空守る条例」議論訴え 米軍部品落下6年 立案者の小林さん


「空守る条例」議論訴え 米軍部品落下6年 立案者の小林さん 「宜野湾市平和な空を守る条例」の制定請願運動で条例案を考えた小林武さん
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

【宜野湾】2017年12月7日、宜野湾市の緑ヶ丘保育園に米軍機の部品が落下する事故が起きた。その6日後、普天間第二小米軍ヘリ窓落下事故が発生。住民の不安は、米軍機事故から市民を守ることを目的とした「宜野湾市平和な空を守る条例」制定に向けた請願運動につながったが市議会で不採択となった。当時、条例案を立案した沖大客員教授の小林武さん(憲法学)は事故から6年たつ今も変わらぬ現状を踏まえ、今度は市議会が一丸となり条例制定へ動くよう願っている。
小林さんは愛知大を定年退職後、11年に宜野湾市宜野湾に移り住んだ。17年12月、市内の保育園と小学校に米軍機の部品が落下する事故が相次いだ。憲法の学習会に参加する住民から「何かできないか」と問われ、条例制定の請願運動を始動。18年6月に「宜野湾市平和な空を守る条例」制定請願の会を発足させた。
条例案は、人口密集地上空を飛行しないような申し入れや、万が一米軍機事故が起きた場合、その基地の全所属機の飛行停止を求めることなどを盛り込んだ。保革にとらわれない内容に努め、日米地位協定改定を求める項目は含まなかった。
19年3月、条例制定に賛同する8800余の署名と共に請願したが、市議会で不採択になった。小林さんは「国防に関わることは『国の専管事項』だという論理で、条例案の内容に対する無理解と偏見があったように思う。市民の安全を守ることが趣旨だっただけに残念だった」と振り返る。だが、憲法で定められた請願権の行使に意義はあったと語る。「多くの市民が安全な空の実現を望んでいることが示せた。この事実は今後も生かされるはずだ」
屋久島沖で米軍のオスプレイが墜落するなど、不安は膨らむ。小林さんは「今だからこそ条例制定に向けた市議会の動きが必要だ。全議員が一体となった議論に期待し、私たちも行動したい」と力を込めた。(名嘉一心)
請願運動で条例案を考えた小林武さん=4日、宜野湾市宜野湾