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「地元で過ごしたい」 集団避難 やるせない思い


「地元で過ごしたい」 集団避難 やるせない思い 石川県珠洲市の避難所で妹とスマートフォンを見る女子中学生=13日午後
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 能登半島地震で被災した石川県珠洲市などの中学生集団避難の受け入れ先となる白山市の宿泊施設は13日、生徒の食事確保や設備の点検などの準備を急ピッチで進めた。地震の恐怖が続く中、突如家族との離れ離れの生活が始まる。集団避難を予定する中学生は学校再開を喜ぶも「地元で過ごしたい」とやるせない思いを吐露する。
 被災地から100キロ以上離れた受け入れ先の一つが県立白山ろく少年自然の家。同施設では例年この時期、県内のスキー学習の予約でいっぱいだが、地震を受けて1月の予約を全てキャンセルした。
 地震による被害は少なく、近くに中学校があることなどから受け入れ先に選ばれた。施設の定員は約100人。最終的な受け入れ人数は不確定だが、松田真由美所長は「心細いだろうし、ホームシックになることもあると思う。周りの大人がしっかり支えたい」と説明した。
 対象の中学生は現在、珠洲市内の避難所などで分散して生活している。同市の県立飯田高にある避難所で中学2年の男子生徒(14)は「集団避難についてはニュースで知った。学校が始まるのは素直にうれしいけど、やっぱり地元で過ごしたい気持ちもある」と言葉少なに語った。
 同じ避難所で橋本康子さん(79)は「若い人が少なくなるのは寂しいが、危ないところにいつまでもいるよりは早く勉強を再開できる方が子どもたちのためだ」と悲しげな表情を浮かべた。
 集団避難を調整する能登町教育委員会の担当者は「保護者の意向次第だが、普通の生活に戻るまでしばらくは避難先で授業を受けることになる」と話した。