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2人死亡、悪質性重視


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 甲府市で起きた夫婦殺人放火事件で、当時19歳の被告(21)に死刑判決が言い渡された。弁護側は更生可能性を訴えたが、甲府地裁は身勝手な動機や2人の命を奪った悪質な犯行態様、法廷で謝罪や反省のない姿勢などを重視し、年齢を考慮しても極刑を回避する決定的事情はないと判断した。
 2人が亡くなった少年による事件では、1999年の山口県光市母子殺人と、2010年の宮城県石巻市3人殺傷で、死刑判決が確定している。それ以前に死刑が確定した3件はいずれも犠牲者が4人だった。少年事件の厳罰化が進む中で、死亡2人でも極刑があり得るとの考え方が定着していると言える。
 改正少年法では民法の成人年齢引き下げに合わせて18、19歳を特定少年と位置付け、扱いを大人に近づけた。司法の場でも成人同様の責任を求め重大事件では少年への厳罰適用を回避しないという姿勢が強まっている。
 被告は法廷で明確な謝罪や反省の態度を見せず、「社会に戻るつもりがない」などと投げやりな発言もあった。周囲からの働きかけなどを通じ、落ち度のない2人の命を奪った罪の重さを自覚できるようにすべきだ。