<訃報>西里喜行さん死去 83歳 琉大名誉教授 「歴代宝案」編さんに尽力 


<訃報>西里喜行さん死去 83歳 琉大名誉教授 「歴代宝案」編さんに尽力  西里喜行さん
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 中琉日関係史の研究に尽くし、琉球王府の外交文書「歴代宝案」の編さん事業に長年携わった琉球大学名誉教授の西里喜行(にしざと・きこう)氏が2日、心筋梗塞のため宜野湾市内の自宅で死去した。

 83歳。竹富町出身。自宅は宜野湾市志真志。告別式は8日午後1時から、浦添市勢理客3の11の2、フェニックスホール那覇玉泉院で。喪主は長男功(いさお)さん。

 1969年に京都大学大学院文学研究科博士課程(東洋史学)単位取得満期退学後、那覇市史編集室主事補などを経て、72年に琉大教育学部助教授、83年に同学部教授に就任した。87~2003年まで琉球王国評定所文書編集委員会委員、90年以降は県歴代宝案編集委員会委員、91年以降は県歴代宝案編集委員会作業部会委員。この間に作業部会長も務めた。

 琉球側の「主権」の問題に着目し、日本や中国との関係を研究。「琉球処分」について、琉球側の動向を重視した新たな考察が評価された。琉球王国評定所文書、歴代宝案の編集事業をけん引し、人材育成にも尽力した。

 市町村史の編さん事業にも携わった。2018年に東恩納寛惇賞(琉球新報社主催)受賞、20年度春の叙勲(瑞宝中綬章)受章。著書には「清末中琉日関係史の研究」など、中琉日関係史が多数ある。

(與那覇智早)