古謝景春南城市長からのセクハラ被害を訴えていた元運転手の女性が9日、提訴に踏み切り、約4カ月間にわたって受けていたという被害の内容を訴状で明らかにした。被害を市に申告し、第三者による調査を求めた女性に対し「今後、裁判になるようならば裁判でしっかり対応する」(市幹部)などと、女性が望んでいなかった「裁判」を言い出したのが市側だったことも分かった。
一連の疑惑について、古謝市長は当初、「すみませんでした」「私はいつでも辞める覚悟です」と女性にメッセージを送っていたが、現在は完全否定している。
女性は8日夜、市への被害申告から提訴までの1年2カ月を振り返り、「役所が第三者による調査に対応しないので、やむなく裁判をすることになった」と語った。
昨年12月に問題が表面化した後、「選挙に影響するので穏便に済ませたい」と女性の家族に打診してきた人もいたという。「被害を訴えている側の気持ちも考えずに『政治的な動き』と捉えたり、家族を巻き込んだりは、二度としてほしくない。こうしたことが続けば、誰も被害に遭っても声を上げなくなると思う」と話した。
訴状には、2022年8月に市長車の運転手になった直後から言葉によるセクハラが始まり、「後ろから胸を強くつかむ」というわいせつ行為にまで及んだという申告内容が書かれている。
市は22年12月12日、女性からこうした申告を受けたにもかかわらず、同月20日には第三者による調査をしないことを女性に伝えた。
さらに同月28日には、セクハラの被害申告に触れず、「体調不良に伴う業務不履行」とした古謝市長名の契約解除通知書を女性に渡し、同月末で契約を解除した。
市側はこれまで、真相解明を求める議員らに対し、「(女性から)訴訟を起こす方針が示されており、司法で判断されるので、第三者委員会の設置は考えていない」(泉直人総務部長)と拒否してきた。
しかし、実際には、第三者による調査を求めた女性に対し、市幹部が22年12月20日、「今後、裁判になるようならば裁判でしっかり対応する」と裁判での決着を促す発言をしていた。
古謝市長は23年12月の本紙取材に対し、自らの意向として幹部に方針を伝えたことを認めている。
(南彰)