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「水を飲めない子ども」が増えている? 意外な変化と「原因」 万一の時に困るかも(東京新聞提供 ~パートナー社から~)


「水を飲めない子ども」が増えている? 意外な変化と「原因」 万一の時に困るかも(東京新聞提供 ~パートナー社から~) 水筒を使って水分補給をする子ども(写真は本文と関係ありません)
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「水を飲めない子どもが増えているらしい」―。読者から、こんな情報が寄せられた。東京新聞の「ニュースあなた発」が、LINE(ライン)でつながる読者らに尋ねると、「私の子どもも飲めない」という声が複数集まった。いったい何が起こっているのだろうか。

 千葉県の長谷川まゆさん(38)は「小1の長男は、味の付いていない飲み物を飲みたがらない」と声を寄せた。長男はコーラやジュースを好んで飲み、食事中も水を飲まないという。

 他にも「歳のいとこは水を飲むことが苦手で、スポーツドリンクやジュースを選んでいた」「中1の娘は、常温の水が苦手。味がなくておいしくないとのこと」との声が届いた。

 東京都八王子市立恩方中の早川功主幹教諭からは取材協力の申し出があり、12月初め、同校の2年生69人にアンケートを行った。

 その結果、10人が「水を飲むのが苦手」と答えた。学校に持参する水筒の飲み物を尋ねると、お茶が35人と最も多く、水の26人を上回っていた。スポーツドリンクは8人いた。

 水が苦手な理由を「味がない」「まずそう」と回答。ミネラルウオーターは飲めても水道水には抵抗がある生徒も。同じ水でも「ぬるいと嫌」という声もあった。早川教諭は「学校の水道を使いたがらない生徒は、近年増加したと思う」と実感を持って語る。

 水に関する情報を発信している「アクアスフィア・水教育研究所」代表で武蔵野大客員教授の橋本淳司さんは、水が苦手な子どもが増えた要因の一つとして、2020年から感染が広がった新型コロナウイルスの影響を指摘する。

 新型コロナの感染防止のため、校内の冷水器や水道の水を飲むことを禁止する学校が増え、水筒持参が広がった。魔法瓶メーカー「サーモス」が2023年1月、全国の小中高生の保護者1321人に行った調査によると、「学校や部活にマイボトルを持参している」と答えた割合は、コロナ禍前(2020年1月以前)の71・3%から80・7%に増えた。

 熱中症対策で水筒にスポーツドリンクを認めている学校もあり、子どもたちが「味の付いた」飲み物を口にする機会は、コロナ禍前より増えている。ある中学校の教員は「今や水筒持参が日常。水道の水を飲む姿は皆無となった」と話す。

 小まめな水分補給を呼びかけている学校現場では、「水が飲めない」ことへの危惧もうかがえる。

 橋本さんによると、都内のある小学校では今夏、「熱中症の疑いで保健室を利用した児童の様子を見ると、水を飲めない児童が目につく。症状が出ている子に、コップにくんだ水を渡して飲むように促しても飲めない例もある」と書いた学校通信を児童に配った。水苦手を克服する訓練をしている学校もあるという。

オンラインでの取材に応じる橋本淳司さん

 橋本さんは「災害時には、冷えていない水しか用意できないこともある。いざという時に水を飲めないと困る。水を飲む習慣をつけることが大切だ」と説く。

(東京新聞・小寺香菜子)

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