福岡市とその周辺で6月12日に運行が始まった「日本版ライドシェア」。西日本新聞「あなたの特命取材班」には、「大学生の息子がバイトで採用された。運転経験が浅くて心配」との声が寄せられた。2種免許がなくてもドライバーになれるライドシェアだが、どのような人が担い手になり、安全はどう確保するのか。
意見を寄せたのは福岡市内に住む50代女性。息子は約3年前に運転免許を取得し、レンタカーなどで週1回程度運転している。過去2年間に大きな事故を起こしていないなど、国が定めたライドシェアのドライバーの条件をクリアしているが、女性は「接客や乗り慣れない車での送迎など、不安は尽きない」と漏らす。
九州運輸局によると、事前調査で福岡交通圏の41のタクシー事業者がライドシェア参入の意向を示し、7日時点でうち31社が運行許可を得た。
シティタクシー(福岡市博多区)は運転代行業者など9人をドライバーとして採用。担当者は「タクシー運転手を募っても50代以上が多いが、ライドシェアでは20代、30代の応募が増えた」と手応えを語る。一方、自営業者ら7人を雇った市内のタクシー会社の幹部は「隙間時間の副業という側面が強い。あわよくば正社員になってほしい、という期待があったが、現実的には難しい」と明かす。
12日に双葉交通(同市南区)のドライバーとしてデビューした同市在住の井野和弘さん(65)は、この仕事のためにスポーツタイプ多目的車(SUV)を購入。経営していた会社を1年前に息子に引き継ぎ、生きがいを探していた。「自分が働きたいときに働けるのが良いところ」と話す。別の会社に採用された男子大学生(21)は、ドライバー募集の広告を見て「運転が好きだから」と応募した。
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2種免許が不要とはいえ、乗客の命を預かる点ではタクシーと変わらない。シティタクシーでは配車アプリ提供会社が用意したドライバー向けのインターネット講義に加え、社員が同乗する実務研修で、安全確認ができているかや運転技術をチェックしている。
双葉交通の豊島明弘常務は「研修を踏まえて大丈夫と言える状態でドライバーを送り出している。乗客の安全安心を担保し、危険がないよう徹底したい」と強調する。
乗客とのトラブル対策も重要となる。事業者はドライブレコーダーを設置するなどして、万が一の際の対応に備えている。 (津留恒星、一ノ宮史成)
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