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“友達のような距離感”で悩み聞き、子どもの学習意欲向上も 学生ボランティアら活動報告 SDGsパスポート 沖縄


“友達のような距離感”で悩み聞き、子どもの学習意欲向上も 学生ボランティアら活動報告 SDGsパスポート 沖縄 基調講演などに耳を傾ける市民ら=23日、那覇市の県立博物館・美術館
この記事を書いた人 Avatar photo 小波津 智也

 沖縄県ユネスコ協会(添石幸伸会長)は23日、那覇市の県立博物館・美術館でシンポジウムを開いた。児童生徒が地域の課題解決につながる取り組みに参加したことを記録する「SDGsパスポート」に関する活動事例が報告され、参加者は情報を共有することでSDGs(持続可能な開発目標)をどのように推進していくかについて考えた。

 基調講演では、2023年度からパスポートを活用している「子どもの居場所学生ボランティアセンター」の関係者が登壇した。

 同センターは県内大学・短大など11校からなる「大学コンソーシアム沖縄」が運営しており、ボランティア登録する11校の学生を子ども食堂や無料塾など地域の「子どもの居場所」に派遣している。子どもたちに対し学習や生活の支援、キャンプや誕生日会を開くなど体験不足を補うイベントを実施している。

松村葉子さん
松村葉子さん

 松村葉子主任コーディネーターは、学生が子どもたちと年齢が近いことから「友達のような距離感で進路や恋愛などの悩みに寄り添うことができ、大学進学を視野に入れにくい環境にある子が学生と出会うことで将来設計に大きな影響を与える」と指摘。精神的安定や学習意欲の向上で好影響があると強調した。

 「子の居場所は地域の大人たちが継続して支援しなくてはいけない」とも述べ、子育てや貧困を地域の問題として取り組む必要性を訴えた。

 登録する学生も活動を報告した。県立看護大3年の井上海(うみ)さん(21)は、不登校や放課後に居場所のない子どもたちの宿題を手伝ったり遊んだりする活動をしている。取り組みについて「長くゆっくり関わることで築ける信頼関係がある」と長所を挙げる一方、「居場所に通うことに偏見や恥ずかしさがある家族がいる」などの課題があるとした。

 琉球大4年の西野七海斗(なみと)さん(22)はひとり親家庭の中学生の学習支援をしている。不登校だった子が大学生と関わることで学習や対人スキルを身につけた事例や、ヤングケアラーで受験勉強が難しかった子に寄り添うことで志望校に合格したエピソードを披露。「ボランティアを通じ自身の学びにもつながっている。将来は心理士として子どもたちのケアに努めたい」と話した。

 (小波津智也)