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与党会派の突然の提出、強制力なく内容も未定 南城議会の調査委 南城市長のセクハラ疑惑解明が焦点 沖縄


与党会派の突然の提出、強制力なく内容も未定 南城議会の調査委 南城市長のセクハラ疑惑解明が焦点 沖縄 第1回市議会定例会を終え、議場を後にする南城市の古謝景春市長(中央)=26日、南城市議会(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 古謝景春南城市長のセクハラ疑惑の発覚から2カ月あまり。市議有志7人による職員アンケートで「被害」を訴える回答も寄せられる中、市議会に調査の場が設置されることになった。一歩を踏み出したが、提案者も「あくまで前段」と強調する特別委員会で、調査権限は弱く、内容が固まっていない点も多い。全容解明につなげられるかが課題だ。

 26日の南城市議会。与党会派の新里嘉氏は「セクハラの相談はない」という市側の説明と、市議有志のアンケート結果に齟齬(そご)が生じたことを挙げ「さまざまな臆測が流れていて、市民が混乱を来している」と提案理由を述べた。

 別の与党会派の宮城秋夫氏は「市民からどうなっているのかと問い合わせが来たが、具体的に答えようがないのが厳しかった。しっかり実態調査をしたい」。特別委副委員長になった銘苅哲次氏は「ずっと調査を求めてきて、やっと前進した」と取材に語った。

 ただ、与党会派が突然提出した決議案の採決では「調査には賛成だが、中身が固まっていない」と、中立・野党会派から4人も退席し、1人が反対に回った。いずれも昨年12月から真相解明を訴え、独自のアンケートなどに取り組んできた市議たちだ。

 その1人である中立会派の仲間光枝氏は「市議会条例では参考人として呼べる人と呼べない人がいる。公正公平な調査が行われるのか」と懸念を示し、改めて百条委員会の設置を求めた。今回の特別委は関係者の出頭や証言、記録の提出に強制力がある百条委とは異なるからだ。提案者の新里氏はこの日の質疑で「あくまで前段としての特別委設置」と繰り返し「やはり強制力が必要なら、また検討していく」と述べた。

 市長によるセクハラ疑惑の発端になった元運転手の案件をどう取り扱うかについても、「特別委で議論していきたい」(新里氏)と定まっていない。特別委設置後、宮城秋夫氏は「含めると理解している」、銘苅氏は「含めた方がいい」と取材に回答した。今後、与党会派が、第三者による調査を拒否してきた市長側を説得できるかが焦点だ。

 この日の市議会で与党会派から示された調査内容は、市と協力して実施するという職員へのアンケートだが、実施方法に懸念の声が出ている。

 野党会派の宮城尚子氏は「疑惑の当事者が市長である中で、市が職員に対して実施したところで本当に申告できるのか。市議有志で弁護士の相談窓口を設置していても、『怖くて言いにくい』という声がある。対応に時間がかかった分、誰に対して申告をするのも皆さん恐怖でしかない」と指摘した。

(上江洲仁美、南彰)