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「民意、伝えているのに、伝わらない」「諦めなければ負けない」 敗訴確定に市民団体は 辺野古代執行訴訟 沖縄


「民意、伝えているのに、伝わらない」「諦めなければ負けない」 敗訴確定に市民団体は 辺野古代執行訴訟 沖縄 新基地建設のため積まれた石材=2024年2月、名護市の辺野古崎
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設で、沖縄防衛局が申請した設計変更を国土交通相が県知事に代わって承認するため提起した代執行訴訟は1日、最高裁が県の上告を受理しない決定をしたことで県の敗訴が確定した。新基地建設に抗議する市民団体からは最高裁決定に反発する声が相次ぎ、建設阻止への思いを一層強くした。

 「果たして審理は尽くされていたのか。司法は自治体や住民側を見ず、国側の方しか向いていない」。沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表は最高裁の判断に納得いかない様子だ。
 「民意ははっきりと辺野古反対だ。知事もしっかり国に伝えているのに伝わらない」といら立ちを示す。「司法は国と自治体の関係をつぶしてみせた。ただ、どんなに抑え付けられても諦めなければ負けない。その姿勢を貫き、次世代へつなげたい」と不条理に抵抗する決意を改めて誓った。

 沖縄平和市民連絡会の北上田毅さんは「上告不受理は予想していたが、最高裁は想定以上に早く結論を出した」と驚く。「(代執行が)地方自治の本質から逸脱しているなど多くの学者が批判しており、審理を開くべきだった」と語り、「門前払い」の対応に憤った。
 同会としては今後、対応について県に面談を求める方針。「厳しい状況だが今こそ、辺野古埋め立て承認の再撤回を求めたい。国がますます強引に工事を進めることは目に見えているが、県側には適正に監視を続けてほしい」と要望した。

 新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票実現に奔走した元山仁士郎さんは「県民投票で7割が反対し、工期や予算規模もよく分からない。軍事的にも疑問視される意見がある中で『公益』にかなう工事なのか」と指摘する。「(新基地の問題を)日本の人々に問うために、私もできることをしたい。他方で一連の裁判に関する、県や弁護団による情報の発信・検証にも期待したい」と述べ、建設反対への歩みを強めるため、現状を県民と共有する必要性を訴えた。
 (西田悠、小波津智也)