2009年の第1回からずっと沖縄国際映画祭を見てきた。
特にエンターテインメントが前面に押し出され、著名な監督やスター俳優、映画関係者が沖縄に集結し、ファンの人も喜んで、映画が盛り上がる環境がつくられてきた。吉本だから呼べるといった面もある。16年続いたのは評価していいと思う。
沖縄が舞台の映画を紹介する「沖縄ヒストリカルムービー」や、1950~70年代にかけて沖縄各地で撮影された8ミリフィルムを現在と比較して楽しむ「デジタルで甦(よみがえ)る8ミリの沖縄」もそうだが、沖縄でしかできない、なおかつ沖縄の人が喜ぶプログラムが継続的に続けられてきた。
沖縄関連の短編映画が沖縄の映像作家によって作られるという試みも良かった。照屋年之(ゴリ)監督が毎年のように映画を撮り、彼自身の映画作家として大きな踏み台になった。映画「洗骨」の原点となった短編「born、bone、墓音。」といった優れた作品も生み出した。
低予算ではあっても、沖縄の映像作家たちが映画を作る機会になっていたので、今後どうなるのか少し懸念している。どうかと思う作品も少なからずあったが、ともかく上映されることが大事で、どう評価するかは観客の側にあり、その機会があったことが非常に大きい。
(沖縄映画研究者)