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【識者】多様な視点でリスク減へ ジェンダー不平等と防災 天童睦子さん(宮城学院女子大教授) 


【識者】多様な視点でリスク減へ ジェンダー不平等と防災 天童睦子さん(宮城学院女子大教授) 
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 ジェンダー不平等による不利益が生まれるのは災害時に限った話ではなく、平常時では見えにくい不均衡が非常時にまさに浮き彫りとなる。男女格差の解消や多様性への配慮は平常時から強い土台としてあるべきものである。

 災害の影響は誰もが同じように受けるものではない。災害発生時や復興の過程で、女性の被害の割合はどうしても男性より高くなる。女性たちが抱える困難を解消するには問題の背景を正確に分析する「災害女性学」が必要となってくる。性別が偏る組織では、その地域のニーズをつかむことができない。1人でもいればいいというわけではない。国も女性比率を3割にと提言しているように、ある程度の割合に達していないと議論が始まらない。

 過去の震災などを経て、ジェンダー不平等がもたらす「配慮の欠如」という被害の認識は広がっている。一方で、体制が急に変わることも難しい。それならば経験を無駄にすることなく、「学ぶ機会を作る」という備えを平常時にこそ怠ってはいけない。多様な視点は社会のあらゆるリスクを減らすことにつながる。

(女性学、教育社会学)