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【識者】人口減少進む中、女性に選ばれる地域になれるか 都道府県別ジェンダーギャップ指数 三浦まりさん(上智大教授)<国際女性デー2024>


【識者】人口減少進む中、女性に選ばれる地域になれるか 都道府県別ジェンダーギャップ指数 三浦まりさん(上智大教授)<国際女性デー2024> 三浦まりさん
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  都道府県版ジェンダー・ギャップ指数算出は3年目となり、格差解消へ向けて変化の兆しが見えてきた。人口減少が進む中、女性に選ばれる地域になれるか。危機感は広がり、ジェンダー不平等の現状をどう変え、いかに加速化させるかという段階に来ている。

 大きな変動があったのは、政治分野の都道府県議会だ。昨年の統一地方選では、香川や鹿児島で女性県議が2割を超える躍進を見せた。3割を超えるには政党の再編成や選挙制度の改革がなければ難しく、国政も含め、現職優先の現状が、女性の進出を阻む「岩盤」となっている。

 行政は、知事ら首長のリーダーシップでスピード感をもって変えることができる分野だ。都道府県が率先して男性職員の育休取得を推進すれば、民間への波及効果もある。一方、自治体で女性管理職の割合を高めるには人事慣行や育成過程の変革が必要で時間がかかり、先を見据えて対策を講じる必要がある。

 指標を見直した経済では、就業率やフルタイムの賃金格差などが順位に影響を与えた。今回の指標にはないが、非正規で働く女性やシングルマザーの貧困など、女性の抱える生きづらさにも着目し、社会的な関心をもっと向ける必要がある。

 大学進学率はいまだ、性差のほか、地域格差も大きい。首都圏や関西圏に大学が集中し、地方では人口減により経営難に陥る大学もある。格差の拡大を防ぐ議論の発展が必要だろう。

 地方からの女性の流出は深刻だ。ジェンダー・ギャップの解消が、住みやすく、働きやすい地域・企業づくりにつながると考える行政関係者や経営者は増えている。誰にとっても魅力的な組織や文化を模索することが、未来を開く鍵となる。