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女性差別撤廃「制度化を」 国連勧告 識者ら日本政府に訴え


女性差別撤廃「制度化を」 国連勧告 識者ら日本政府に訴え
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【東京】国連の女性差別撤廃委員会が在沖米軍人による性暴力の問題への対応、選択的夫婦別姓の導入など日本政府への勧告を含む「最終見解」を示したことを受け、性暴力の被害者や県内の団体は政府に対して、勧告を真摯(しんし)に受け止め改善への取り組みを進めるよう求めている。
 米兵から性暴力被害に遭ったキャサリン・ジェーン・フィッシャーさんらは31日、国会内で記者会見を開いた。「国連が私たちの声を聞いてくれているのはいい点だが、日本政府が動かなければ意味がない」として実態の改善につなげていく重要性を訴えた。
 フィッシャーさんは、日本国内法「尊重」を定めた日米地位協定16条に「順守」も付け加えるべきだと提言した。
 ジャーナリストの布施祐仁さんは2013年から22年の10年間、強姦・強制性交等罪で被疑者となった米軍構成員の起訴率は8・3%だと説明。日本全体の同罪起訴率35・8%と比べると「圧倒的に低い」と述べた。地位協定の文言だけでなく運用の仕方にも問題があると指摘した。
 名古屋学院大の飯島滋明教授(憲法学・平和学)は米軍関係者による性犯罪について、地位協定18条改定で米政府負担での対応を定め、同17条改定で公平な刑事司法を実現するべきだと強調した。国連が示した最終見解について「国連という正規の機関、国際社会が『まずい』と言っているという事実は、国内の一般市民向けに(問題の深刻さを知らせる)効果がある」と語った。
 選択的夫婦別姓に関し、女性差別撤廃委員会による日本への勧告は4回目。制度の導入を求める県内在住者らによる任意団体「選択的夫婦別姓・陳情アクション沖縄」共同代表の砂川智江さん(47)=沖縄市=は「性別役割意識の見直しにもつながるし、今度こそ導入してほしい。生きやすい社会を次の世代に渡していくのは、大人の責任だ」と話した。
 砂川さんとともに共同代表を務める、眞鶴さやかさん(38)=うるま市=は「若い世代の多くも法改正を望んでいる」と必要性を強調した。自民党総裁選や、衆院選の争点にもなったとし「勧告を真摯(しんし)に受け止め、制度導入を速やかに進めてほしい」と望んだ。(明真南斗、前森智香子)