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「沖縄を知り、語ること重要」 沖縄県立芸大芸術文化研究所准教授 鈴木耕太さん


「沖縄を知り、語ること重要」 沖縄県立芸大芸術文化研究所准教授 鈴木耕太さん 講演する鈴木耕太さん=9日午後、那覇市泉崎の琉球新報ホール
この記事を書いた人 Avatar photo 田中 芳

 「step~自分らしく一歩前へ」(琉球新報社主催)の第2回講座が9日、琉球新報ホールで開かれ、県立芸大芸術文化研究所准教授の鈴木耕太さん=読谷村出身=が登壇した。「琉球文化に楽しく親しむ」をテーマに、琉球王国時代の織物や琉歌の世界、組踊の研究活動などについて講話した。

 鈴木さんはおもろ・琉歌研究者の嘉手苅千鶴子さんの「アタイ花を挿す心」という琉歌にまつわるエッセーを読み、琉歌の魅力に引き込まれたという。エイサーや踊り、地謡の経験から、組踊や琉球芸能への興味が湧いたと振り返る。研究活動において、恩師の池宮正治さんからの「琉球文学は広く深く」という言葉が胸にあるという。

 研究者として自らが組踊の台本を書いた経緯についても語った。2022年に「第2回新作組踊戯曲大賞」を受賞した組踊「鶴亀の縁~扇のえにし~」も解説した。

 鈴木さんは「研究対象は、芸能という地域や時代を超えるもの」と強調する。ニーチェの言葉を伊波普猷が琉歌に翻案し詠んだ「深く掘れ己の胸中の泉 餘所(よそ)たよて 水や汲(く)まぬごとに」が自身の座右の銘であると紹介した。「沖縄のことを知り、沖縄に触れ、沖縄のことを語るというのは、観光や経済にも非常に重要だ」と話した。

 (田中芳)