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沖縄・与那国の新港湾「白紙に」 自衛隊使用想定の「特定重要拠点」 地元女性らが議会に陳情


沖縄・与那国の新港湾「白紙に」 自衛隊使用想定の「特定重要拠点」 地元女性らが議会に陳情 与那国新港湾の計画を白紙にして議論を尽くすよう求める陳情を与那国町議会の南風原弘明事務局長(左)に手交する植埜貴子さん(左から2人目)ら=8日、与那国町議会
この記事を書いた人 Avatar photo 中村 万里子

 自衛隊などの使用を想定し政府が整備する「特定重要拠点」として、与那国町の湿地帯・樽舞(たるまい)湿原で新たな港湾建設が計画されていることについて、町在住の女性9人は8日、与那国町議会の崎元俊男議長宛てに、計画を白紙に戻して議論を尽くすよう求める陳情を提出した。陳情は受理され、3月の町議会定例会最終日の19日に審議される見通し。

 与那国町が国に提出した計画では、新たな港湾は樽舞湿原一帯をしゅんせつし、全長1・2キロ、幅約300メートルに上る。樽舞湿原は開発が及んでおらず、環境省の「生物多様性の観点から重要度の高い湿地500」に登録されているほか、一部が鳥獣保護区にも指定。琉球列島最大規模の湿地帯で、希少な野生動植物種が数多く生息している。

 陳情は代表の植埜(うえの)貴子さんら町内の女性9人が提出した。陳情書では、新港湾建設は島の文化的な要素や重要な自然の循環、観光資源の喪失につながると指摘。「住民、議会そっちのけで計画が急速に進んでいる。島を後世の子どもたちに力強く生きていける場所として残せるかどうかを含め、一度白紙に戻して再度議論を尽くしてほしい」と訴えている。
 (中村万里子)