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「え?外に出たの?」…オスプレイ飛行再開に市幹部ら驚く 住宅地の上を回旋し、市民から苦情も 沖縄・宜野湾


「え?外に出たの?」…オスプレイ飛行再開に市幹部ら驚く 住宅地の上を回旋し、市民から苦情も 沖縄・宜野湾 飛行する2機のMV22オスプレイ=14日午後2時17分、宜野湾市(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 昨年11月の鹿児島県・屋久島沖での墜落事故による飛行停止から約3カ月。米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイは14日、普天間飛行場所属の海兵隊機によって飛行が再開した。事故原因の十分な説明がないままに那覇や浦添、読谷など沖縄本島の空を広範囲に飛ぶ様子が各地で確認され、県民から「納得できない」と、さらなる事故を懸念する声が相次いだ。飛行再開に踏み切った米軍と追認した日本政府に、あきれや憤りが広がっている。

飛行再開したMV22オスプレイを見る人たち=14日午前11時16分、宜野湾市の嘉数高台公園(大城直也撮影)

 鹿児島県・屋久島沖での墜落事故後、飛行停止していたオスプレイが14日、飛行を再開した。宜野湾市の米軍普天間飛行場では午前8時前から駐機中のオスプレイを兵士数人が囲み、機体を整備する様子が見られた。午前8時51分。プロペラを回していた1機が浮かび上がった。機体は基地内で空中停止するホバリングをし、わずか2分後、ぐいっと向きを変え、基地外に出て読谷村方面に飛び立った。取材に当たる報道陣のどよめきの声をよそに、オスプレイは相次いで離陸し、飛行再開初日から市街地上空などを飛び回った。

 宜野湾市では、松川正則市長の受け止めを聞こうと市役所に報道陣が集まった。市幹部は報道陣に「え?(基地の)外に出たの?」と確認するなど驚いた様子。前日に沖縄防衛局の説明を受け、ホバリングなどで安全を確認してから基地外に飛行すると想定していた松川市長。再開初日から基地外に飛行範囲を広げたことに「それにしても、正直、早いと感じる」と不満を漏らした。

 オスプレイは那覇などの上空でも飛行が確認された。普天間飛行場を離陸後、住宅地の上を何度も旋回する機体も。

 宜野湾市役所には通常、1カ月に10件程度の航空機騒音に関する苦情が寄せられるが、この日は1日で4件の苦情があった。担当者は「オスプレイの影響が大きかったのではないか」と話す。

 普天間飛行場野嵩ゲート前の道路では、米軍機の部品落下事故があった緑ヶ丘保育園の元保護者らでつくる団体「#コドソラ」や、有機フッ素化合物(PFAS)汚染を問題視する「宜野湾ちゅら水会」のメンバーら6人がスタンディングの抗議をした。「保育園や学校の上を飛ばないで下さい」などと書かれたプラカードを掲げた。

 宮城智子さん(54)=市普天間=は「日米政府には、基地の周りにも生活している人がいることを考えてほしい」と訴えた。車内から手を振ったり「頑張れよ」と声を掛けたりする人もいた。

(島袋良太、名嘉一心、渡真利優人)