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同性パートナーも「事実婚」 最高裁初判断 犯罪被害給付対象に


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 20年以上同居していた同性パートナーを事件で殺害された男性が、配偶者として「犯罪被害者給付金」を受給できるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は26日、支給対象の「事実上婚姻関係と同様の事情(事実婚)にあった者」に同性パートナーも該当し得るとの初判断を示した。
 その上で、同性パートナーの場合は支給対象外とした二審名古屋高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。今後は男性がパートナーと事実婚の状態だったと言えるかどうかが検討される。
 犯罪被害者等給付金支給法は支給対象となる被害者の配偶者について、婚姻を届け出ず事実婚の状態だった相手を含むと規定。訴訟では同性パートナーも規定に該当するかどうかが焦点だった。
 判決は給付金制度の目的が遺族の精神的、経済的打撃の早期軽減などにあるとして「被害者と共同生活を営んでいた者が異性か同性かで、軽減の必要性が直ちに異なるものではない」と指摘。被害者と同性との理由だけで事実婚に該当しないと判断していた二審判決には「明らかな法令違反があり、破棄を免れない」と結論付けた。
 裁判官5人のうち4人の多数意見による結論。今崎幸彦裁判官は反対意見を付け、同性パートナーシップの法的保護を巡る全般的な議論の蓄積が十分ではないとして「現時点では先を急ぎすぎている。同性パートナーは事実婚に該当しないと解すべきだ」との見解を示した。
 一審名古屋地裁判決は「同性間の共同生活関係を婚姻関係と同視できるとの社会通念が形成されていない」として該当しないと判断。二審名古屋高裁判決は現行の法体系で「婚姻」「配偶者」は異性間の関係のみを意味しており「同性間を含むとの解釈は困難」と指摘して対象外とした。
 男性は愛知県在住の内山靖英さん(49)。二審判決などによると、2014年12月、パートナーが内山さんの同僚だった男に殺害された。男は殺人罪などで懲役14年が確定。内山さんの給付金申請は愛知県公安委員会が配偶者と認めず、不支給とした。