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旧統一教会に過料命令 東京地裁 質問権行使は「適法」


旧統一教会に過料命令 東京地裁 質問権行使は「適法」 質問権行使を巡る過料の流れ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 宗教法人法に基づく解散命令請求に向けた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への質問権行使で回答拒否したとして、文部科学省が過料を科すよう申し立てた非公開の裁判手続きで、東京地裁(鈴木謙也裁判長)は26日、教団の田中富広会長に過料10万円の支払いを命じる決定を出した。質問権行使を巡る過料決定は初めて。行使は違法だとする教団側主張を退け、「適法」と判断した。
 文科省は「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」をしたなどとして解散命令請求を地裁に申し立てている。鈴木裁判長は、法令違反について「刑罰法令に限定して解釈すべきではなく、民法上の不法行為も含まれる」と認定しており、解散命令の審理に影響を与えそうだ。
 決定は、教団を巡る22件の民事訴訟の判決で、財産権や人格権を侵害する違法行為が認定されており、同様の被害者が少なからずいることが推認されると指摘。宗教法人審議会からの答申も踏まえて行われた質問権行使は適法とした。その上で教団が一部で回答していないと認め「過料に科すべきだ」とした。教団側は幹部による刑事事件が存在せず、行使は違法と主張していた。
 質問権は解散命令要件に該当する疑いがある場合などに行使できる。文科省は教団の法的責任を認めた民事判決があることから、解散命令につながる法令違反が疑われるとして、2022年11月以降、質問権を計7回行使した。
 決定によると、教団が回答しなかった質問項目は、所有する預貯金口座の番号や残高、信者らからのクレーム対応に関する資料など。
 教団側はプライバシー保護などを理由に挙げたが、鈴木裁判長は文科省職員には守秘義務があり、「正当な理由とは認められない」として退けた。