宝塚親会社　遺族に謝罪　俳優急死　上級生のパワハラ認める

　宝塚歌劇団の俳優の女性（２５）が急死した問題で、親会社阪急阪神ホールディングス（ＨＤ）は２８日、上級生らによる女性へのパワーハラスメントを認め、補償する内容で遺族側と合意書を締結し謝罪したと発表した。同日、角和夫ＨＤ会長らが遺族に直接謝罪し、パワハラを行った上級生の相当数が謝罪文を遺族に提出した。遺族が主張した１４件のハラスメントを全て認めた形だ。
　急死した女性の遺族代理人を務める川人博弁護士は同日、東京都内で会見し、合意について「歌劇団側が明確に多数のパワハラの存在を認め、遺族に謝罪したことの意義は大きい」と指摘した。
　大阪府内で記者会見した阪急ＨＤの嶋田泰夫社長は「ご遺族の心情を思うと、取り返しのつかないことをして申し開きできない」と頭を下げた。ただ、会見に同席した大塚順一執行役員は、ハラスメントが起きた背景や言葉の解釈には遺族側と相違が残ったと説明。遺族が故意だと主張していたヘアアイロンによるやけどなどについては「悪意があったとまでは言えないが、行き過ぎた行為はパワハラに該当する」と見解を述べた。
　長時間労働やパワハラを放置し、俳優に時代に合わせた教育をしなかったことは「怠慢だった」と歌劇団の過失を認めた。ハラスメントを行った上級生の処分は行わない方針。女性が所属していた宙組（そらぐみ）の公演再開時期は年内との見解を示した。
　女性俳優の母親は「娘は過酷な労働環境とひどいパワハラの中でも全力で、笑顔で舞台に立っていた。そんな娘を誇りに思っている」などとするコメントを出した。
　昨年９月、兵庫県宝塚市で女性が死亡。遺族側は阪急側に、謝罪と補償を求めていた。