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マラリアに効果も毒性あり 紅麹 青カビ生性のプベルル酸


マラリアに効果も毒性あり 紅麹 青カビ生性のプベルル酸 プベルル酸の特徴
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 小林製薬の「紅こうじ」を使ったサプリメントの原料から「プベルル酸」という化合物が検出された。健康被害の原因となった可能性がある。プベルル酸を巡っては、2015年ノーベル生理学・医学賞の大村智・北里大特別栄誉教授らも参加する研究チームが、蚊が媒介する感染症のマラリアに効果があると確認した一方で、マウスを使った実験などで毒性が報告されている。
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 プベルル酸は、青カビが産生する天然の化合物。1932年に英国の大学の研究者らが初めて報告した。北里大のチームは2011年、マラリアに効果がある化合物を探し、プベルル酸を見つけたと論文を発表した。
 マラリアはエイズ、結核と並んで三大感染症と呼ばれ、既存の治療薬が効かない薬剤耐性の広がりが課題となっている。「イベルメクチン」などの熱帯感染症の特効薬を開発した大村氏らも、マラリアの新薬を探していた。
 論文によると、既存の治療薬に耐性を持つマラリアにも一定の効果があることを確認。ただ人の細胞で弱い毒性があると言及している。17年の論文には、マウス5匹にプベルル酸を一定量(体重1キロ当たり5ミリグラムを2回)注射したところ、3日目までに4匹が死んだとの記載がある。
 青カビ由来のペニシリンといった抗生物質は、腎臓に毒性があることが多い。厚生労働省は、プベルル酸が健康被害の原因となった可能性を「一定程度あるが、網羅的に検討していく」とし、他の物質も含めて調べる方針だ。