能登半島地震の被災地では31日時点でも、倒れた家の多くは手付かずで、がれきも山積みの状態だった。「街の風景は3カ月前のまま」「涙が出る」。住民は進まぬ復旧に途方に暮れた。金沢市など遠方に2次避難している人も多く、慣れない環境で長期化する避難生活に不安や不満が募る。
火災で大半が焼失した輪島市の「輪島朝市」では、黒く焼け焦げた建物跡の所々に花が手向けられていた。近くに住む向憲龍(むかいけんりゅう)さん(81)は被災直後を思い出し「風景はそんなに変わらんな。見通しはつかないけど、いつか活気が戻ってほしい」とつぶやいた。
一部壊れた自宅で生活する輪島市三井町の狭間孝彦さん(76)は「大工に修理を頼んでも(依頼が多く)3年は来られないと言われた。自分のできる範囲で直していくしかない」。2次避難先の金沢市から自宅の片付けに来ていた元高校教員長井裕さん(68)は「生まれ育った輪島で早く暮らしたいが、厳しい」と険しい表情だった。
輪島市のみなし仮設住宅に住む女性(78)は「なじみの友達と会うことはなく、高齢者の1人暮らしはさみしい。食事も掃除もボランティアに頼りっきり。いつまで支援してもらえるのか」と不安を口にした。
珠洲(すず)市宝立町の寺山京子さん(73)の自宅は、損傷部分は修理可能なものの、断水が続く。「水が来ないと何もできない。1年かかるんだろうか」とため息をついた。
同市三崎町の避難所に身を寄せる織物業河原良一さん(72)は、自宅を解体するか修繕するか頭を悩ませる。「終活も見据える年齢で一から建て直す気にはならない。先のことが考えにくい」。同市狼煙(のろし)町の畑で作業していた女性(82)は「みんな避難先にいたり金沢に引っ越したりでさみしい。倒れている家がそのままで涙が出る」と不安そうに話した。
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がれき山積みのまま 進まぬ復旧「涙が出る」
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琉球新報朝刊
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