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「人間的な生活送れず」 被災者調査 困りごと「断水」最多 能登地震3カ月 水の確保に日々追われ


「人間的な生活送れず」 被災者調査 困りごと「断水」最多 能登地震3カ月 水の確保に日々追われ 避難所で給水する男性。タンク二つで30リットルの水を1日2回、車で運んでいるという=31日午後、石川県珠洲市宝立町地区
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 共同通信は3月下旬、能登半島地震の発生時に石川県に住んでいた被災者50人にアンケートを実施した。「今、一番困っていることは何か」との質問に、断水が続いていることを挙げたのは最多の19人だった。回答では「人間的な生活を送れる状況ではない」といった切実な訴えが相次いだ。 
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 「お風呂は1時間以上並ぶ。洗濯は1週間分ためるので1日がかりだ」と回答したのは珠洲(すず)市の避難所に身を寄せる宮口智美さん(38)。水を自由に使えないため「トイレのタイミングを常に意識している」と明かす。
 他の回答者からも「(給水所で)生活用水をくむのに1、2時間割かれるのがつらい」「週末ごとに200リットルの水を自宅に運んでいる」と日々、水の確保に追われることを訴える声が相次いだ。入浴のため週に1度、100キロ近く離れた親戚宅を訪ねる人もいた。
 このほか、一番困っていることとして「生活資金がないこと」を挙げたのが8人、「仮設住宅など次の住まいが決まらないこと」が6人いた。
 アンケートでは、地震発生後の政府や自治体の対応についても聞いた。「あまり評価しない」「全く評価できない」が計29人で、「大いに評価する」「ある程度評価する」の計21人を上回った。輪島市の柴田寿美香さん(58)の「アクションを起こすのが遅い。市や県が能登の復興をどう考えているのか分からない」のように、復旧・復興のスピード感や被災者支援の情報周知の在り方を問題視する意見が相次いだ。
 評価するとした人からは、地震で被災しながらも支援業務に取り組む自治体職員への感謝の言葉が出た。
 自宅の再建や今後暮らす場所について尋ねた質問では、33人が「元々の場所もしくは自治体で自宅を再建したい」と答えた。