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菌培養、紅こうじのみ 小林製薬のサプリ製造


菌培養、紅こうじのみ 小林製薬のサプリ製造 小林製薬大阪工場の製品
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 小林製薬(大阪市)が製造した「紅こうじ」サプリメントと腎疾患との関連が疑われる問題で、同社が菌類を培養してサプリ原料を製造していたのは紅こうじだけだったことが2日、分かった。乳酸菌やビフィズス菌、納豆菌由来のサプリも販売するが、原料は全て外部から調達していた。高温多湿な環境下で培養する菌類は、厳しい衛生管理が必要とされる。厚生労働省と大阪市は紅こうじの製造工程に問題がなかったか調べる。業界内では、細心の注意が不可欠な培養工程で意図しない成分が混入し、健康被害につながった可能性を指摘する声がある。
 小林製薬は、2016年に下着大手のグンゼから紅こうじ関連の事業を譲り受けた。小林製薬がこうじ菌を扱うのは初めてで、製造設備は大阪工場(大阪市、昨年12月閉鎖)に移した。
 紅こうじ摂取でコレステロール値を下げる効果が期待されることは当時から知られ、多様な製品開発による販売拡大を見込んだ。その後もサプリ用に菌培養から手がけていたのは紅こうじに限られ、異例の対応だったとみられる。
 大阪工場では、紅こうじ以外に清涼食品「ブレスケア」や消臭剤「無香空間」も生産した。厚労省と大阪市は3月30日に立ち入り検査し、運営状況を詳しく調べている。
 昨年4~10月に大阪工場で製造した原料を使ったサプリで、健康被害を引き起こした可能性がある青カビ由来の「プベルル酸」が検出された。摂取との関連が疑われる死者は5人、入院者は166人に上る。
 サプリの受託メーカーによると、菌の培養器が熱を帯びて周辺の温度が上がり、工場の空気中や壁に雑菌が繁殖しやすい。異物混入を防ぐため、複数の製品を一つの工場で同じ日に製造すべきではなく、「紅こうじを他の食品や日用品と同じ工場で生産するのはリスクがある」とした。