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安全な「美ら海」目指し始動 全国初、専業ライフガード 年間通して各地巡回


安全な「美ら海」目指し始動 全国初、専業ライフガード 年間通して各地巡回 琉球水難救済会の玉城亮会長(前列左から2人目)と「機動救難所」の指定を喜ぶ沖縄ライフセービング協会の音野太志代表理事(同3人目)ら=2日、恩納村の恩納村海浜公園ナビービーチ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

県内の水難事故が過去最多を更新する中、沖縄ライフセービング協会が今月から年間を通じて専業で海の安全を見守る「ライフガード」の活動を始めた。同協会によると専業での活動は国内初。県が2024年度当初予算で大幅に増額した関連事業予算を活用する。自然海岸の利用者一人一人への声掛けを通じて水難事故の未然防止につなげたい考えだ。安心安全の面でも世界に誇れる「美ら海」を目指し、ライフガードが海浜を駆け巡る。
県警によると、23年の県内の水難事故発生件数は116件(前年比10件増)、被災者は169人(同26人増)、死亡者は59人(同19人増)でいずれも過去最多。18年以降、最多更新を続けている。24年3月末現在も前年同期と同様のペースで発生している。事故発生場所は自然海岸が約7割を占めるほか、観光客の被害も4~5割ほどあるという。
「観光立県」を掲げる県は、右肩上がりに増加する水難事故を減らそうと、24年度当初予算で「マリンレジャー事故防止調査対策事業費」として前年度の約4倍に上る約1億1600万円を計上。ポータルサイトの充実や多言語対応などに加え、自然海岸での見回り活動の充実も柱に据える。
沖縄ライフセービング協会によると、これまでも協会に登録している民間ビーチのライフセーバーらが海岸を巡回して利用者に声を掛けるなどしてきた。ただ、行政からの支援も限られる中、勤務先での活動が主になることもあり、体制としては不安定だった。
そこで同協会は24年度から県事業を活用し、ライフガードとして本島で5人を正規雇用。3年ほど前から委託で海域監視業務をしてきた座間味村でも5人を雇用した。合計10人が専業で巡回できる体制を整備した形だ。
本島では恩納村を中心に県内の自然海岸で活動する。巡回しながら海岸利用者に海岸の特性や危険生物などの対応を伝えて、事故の未然防止を図る。「機動救難所」として緊急時には迅速に救助活動に当たる。
2日に恩納村で開かれた出発式で協会の音野太志代表理事(47)は「県民や観光客の皆さまからの理解と応援を受け、県全土を回れるようになるまで継続していきたい」と抱負を語った。 (大嶺雅俊、西田悠)