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患者の「医療被ばく線量」共有へ 沖縄の津梁ネットが全国初 県民に登録呼び掛け 


患者の「医療被ばく線量」共有へ 沖縄の津梁ネットが全国初 県民に登録呼び掛け  おきなわ津梁ネットワークの機能強化を説明する県医師会の安里哲好会長=9日午後、県医師会館
この記事を書いた人 Avatar photo 宮沢 之祐

 集積した患者の診療情報を、県内の主な医療機関で共有する「おきなわ津梁ネットワーク」に、放射線診断による線量の管理機能を追加することを県医師会などが9日、発表した。一人一人の線量情報を複数の医療機関で共有するのは全国初という。患者の被ばく線量の低減につながる試みとして注目される。

 津梁ネットは県医師会が2013年から運営。登録した人の診療や検査のデータを各医療機関が共有し、患者に適した治療や予防対策を提供しやすくなるという。CTやMRIの画像も共有している。

 今回、追加される線量管理機能は、量子科学技術研究開発機構(千葉県)が開発。CTなどの撮影条件のデータから患者の被ばく線量を評価できる。津梁ネットと組み合わせることで、患者がさまざまな医療機関で受けた放射線診断の線量情報をまとめて管理できるようになる。試験運用に成功し、本年度内の本格運用を目指している。

 医療被ばく線量の最適化のためにも、まず患者の線量の実態把握が必要になる。過度な線量で撮影してきた医療機関が改善に取り組む効果も期待される。同機構は津梁ネットとの連携が全国のモデルケースになるとみて準備を進めてきた。

 南風原町で記者会見した県医師会の安里哲好会長は「他県にはない新たな機能の追加によって、地域全体の医療レベルの向上が見込める」とし、県民に登録を呼びかけた。

 津梁ネットには5月1日現在、約7万1215人が登録。県内の26の基幹病院を含む193の医療機関が参加している。
(宮沢之祐)